キアラン 15
鳥は声のトーンを一回り低くする。私はその声を聞いて、何か嫌な予感がした。悪魔と知り合った時点で不安はいっぱいなのだが。
え…?どうして分かったの?
『だって……地界の悪魔で、その目を持った者は………』
者は?
鳥の声色が更に低くなったので、真剣になって鳥に言った。
『伝説の悪魔「サタン」を呼び出すことのできる者だって…………、聞いたことがあるの。地界にいるある家の者で、その目を持った人じゃなきゃいけないけど』
でも……その人はそういう感じじゃ無かったよ。
悪魔は安心できる存在でも無いのに、あわてて否定した。そのときは、どうして否定したのかさえ分からなかった。
『でも……用心にこしたことは無いわ。注意しておきなさい。もしかしたら、そのキアランって言う人は、その人の血を受け継ぐ人かもしれない…………。だから、その力を持っているかも……』
えっ…!
私の顔が一気に真っ青になるのが自分でも分かる。
鳥は慌てて言った。
『大丈夫よ。例えの話。まあ、大丈夫だとは思うわよ。』
「そうよね……」
私は何故か顔を伏せた。そのときに真新しい腕時計が目に入った。その時計を見て勢い良く立ち上がる。
その勢いで、鳥は落ちるが翼でゆっくりと羽ばたいたため、落下はしない。
「いっけない!ごめんっ。もう時間だから行かなくちゃ。」
『そう?じゃあ、また明日!』
「うん!」
そう言って、鳥のほうを振り返りながら手を振った。そのため、足元に注意が向かず、段差でこけてしまう。
それを見た鳥は、小さな声で呟いた。
『大丈夫かしら……』