キアラン 11
「ん?なんだ?」
ハンナも、不思議そうにフィオナを見ている。
「あの……。すみません。ここにいたいのは山々なんですけど……呼び出しがあるので……」
「そんなものがあるの…?たいへんねぇ。また、会いましょう?」
「ええ。それじゃあ……」
「おうっ。じゃあな!」
フィオナは軽くお辞儀をするとどこかえかけていってしまった。
フィオナが駆けていく姿が見えなくなったところで、俺達も歩き出した。しばらく歩いた所で、歩きながらハンナに話しかける。
「なあ、フィオナ……大丈夫かな?」
「…………そうね。どこか……思い詰めてたところがあるように見えたけど……。大丈夫よ。そんなに心配しなくても。」
そうか?
「何よ。天使の心配なんてするの、珍しくない?あんたは、いつもいじめて終わりだったじゃ無い。」
ハンナは俺がフィオナを心配するとニヤニヤとハンナは笑う。
別にいいじゃねぇか。それに……
「それに?」
ハンナは口調が変わったことに気づき、俺の顔を不思議そうにのぞきこむ。
「それに……何か嫌な予感がする」
「なんで?」
ほら……あのこの服とかさぁ、結構いい服だったじゃん。
ハンナは、そう言われて首をかしげて考える。そして、手を叩いた。
「ああっ。確かに結構いい服装だった。それがどうしたのよ」
分かんねえのか?……だからさぁ、天使の中の貴族とかの娘とかじゃないかと思って。そうしたらさあ、もし悪魔がフィオナを攻撃したとすれば、地界にでも戦争を仕掛けてくるんじゃないかって。
「…………」
ハンナは難しい顔をするが、すぐに明るい声になって言った。
「考えすぎよ。それに、そのときはそのときよ」
そんなハンナの考えを聞いて、ふっと微笑する。
「ああ。そうだな……。ところで……もう一度聞くけどまえの用ってなんだったんだよ。」
ハンナは、その話に変えられ顔を赤く染めた。
「なんでもないって言ってるでしょっ。本当にたいしたことはなかったの。その……久しぶりに会ったんだし、そこかに遊びにいこうかなぁ~、って思ってただけよ。」
「えっ!そうなのか?それなら行きたかったな~。……じゃあさあ、また今度行こうぜ。」
ハンナはそれを聞いて、さらに顔を赤くする。
「ふんっ。今度ね」
ハンナはぶっきらぼうにそう言う。
「ははっ。面白い奴だな」
「もうっ。なんなのよ~」
俺はハンナの言葉どおり、気にしないでいようと思った。
だがもう少し先の時に、俺の思ったとおりの事が起きるのだが、そんなことは今の俺には分からなかった。