キアラン 10
違うぞ?
「へっ?」
フィオナは目を見開いてきょとんとした声を漏らす。
「そうよ。私達は、天使とは違う。私達は、悪魔なんだから。」
「へっ…え…?」
フィオナはその言葉を聞いて、意味が分からないといったようで頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいる。
「だって……泣いている私に優しく声をかけてくれたじゃないですか。」
……その前に、俺がおまえを攻撃しちまったのを忘れたのか?
「あっ……」
フィオナはその事を思い出したらしく、頭を抱えてしゃがみこむ。そのまま何かを小さく呟いている。
「そんな……悪魔なんかに…石を渡しちゃったなんて……」
そんなに言わなくても……。それに、悪い悪魔ばっかってワケじゃないんだぜ。少なくとも、俺達はいいほうの悪魔だと思うぞ。
「そうよ。まあ、キアランはたまに天使をいじめたりしようとしてるケド。」
「うるせぇ!」
フィオナは俺の言葉に信用したらしく、微笑んだ。
「今もこうして、私に攻撃してこないということで、良い方の悪魔だということは信じます。でも、天使をいじめるのはよくないことだと思います。」
はい……すみません。
俺が方を上げると、ハンナも続ける。
「そうね。その癖は直しなさい」
はい……ほんと、すみませんでした。
「ふんっ。わかればいいのよ。」
「くすっ」
フィオナは、そんな二人のやり取りを見ていて、再び微笑した。
それを見た、俺とハンナはまた笑い出す。
三人が笑って、和やかな空気が流れていた。だが、そんな空気を打ち壊した物があった。
フィオナの腰に掛かっている小さい鞄から、「ピーッ ピーッ」とアラームのような音が流れたのだ。
「あっ…」
フィオナは、その音を聞いて顔を曇らせた。