第七話 修行風景~アリア・三視目~
「……やっぱ寝て……気絶したのか?」
私は、草原のど真ん中で目を覚ます。
しかし、其処はただの草原ではない。私とアイ兄の修行のために、
『悪魔の王』が用意した場所だ。
気絶?する前は、義父さんと魔法の修行をしていたはずなんだけど……。
「ああ、多分、内的魔力の最高値の使用許容量を越えたんだろう。
まあ、一週間程度気絶していただけだから、大丈夫だぞ」
「義父さん?
っていうか一週間って長いよね。起こさなくて良かったの?」
いつのまにか目の前の小岩に座ってこちらを見ている義父さんに答える。
「まあ、許容量を越えれば越える程、それ以上に魔力最高値が高くなるっていう定番だからな。
その為の内的魔力の回復を邪魔する訳にはいかない」
「そっか。
…………で、どれだけ増えたの?
一週間も寝てたんだから、これで増えてないとか言ったら泣くよ?」
「まったく、アリアは話が早い……。
安心しろ、お前の成長速度にははっきり言って驚かされっぱなしだ。
増えてる? ふざけるな、アレはそういう物ではないよ」
少し額に青筋を浮かべながら落ち着きが無くなってくる義父さん。
ちょっとちょっと、何があったか知らないけど、いきなり一方的に小ギレしないでよ。
凄い期待?されてるのか?
「……そうだな、簡単に端折りまくって答えれば…………」
ごくっ
と自分の喉が唾を飲み込む音が聞こえる。
な、何なんだ?
「…………『ふざけるな』」
「だからそれはもういいって!
ちゃんと答えてよ! 今一応シリアスパートなんだからさ!
確かにこの頃コメディ要素入りまくりだけどさ!
って、何言ってんだ私?」
「お前は凄いよ、ああ」
あれ?
何かスルーされた。
「お前は、一回だけ魔力を使い切っただけで、
私に近づく程の魔力を獲得したんだからな。私としては面目丸つぶれだ」
「はい? …………ってェ! そんなに増えてたのかぁ!!!???」
それだったらキレたくなる理由もわかるけどさ。
だけどそんな会話に自然に割り込ませないでちゃんと伝えてくれ!!!!
「まあ、まだまだお前には戦闘経験が足りない。
それを埋めていく事から始めようか」
けど、どうやって?
まさかまた義父さんと!? それは勘弁だ。死にたくないし。
「アリアの事だから、『死にたくない』とか思っているのだろう?
安心して良い。そこらへんはあの王に話をつけた。今さっきな」
『悪魔の王』か。
アイツのやる事だからどうも信用ならないけど、今は強くなる方が先だ!
「義父さん! ところで誰と戦うんだ?」
「えーっと、確か王によると……ああ、あの女の人……悪魔だけど、
あの従者だよ。
悪魔の王に仕える『七つの大罪』とか言う七人の一人だったかな?」
「ヱ…………?」
なにそれこわい。
そっちの方が死にそうな感じがしてきたよアイ兄……、義父さん……。
「だ、誰だって……?」
「確か、『色欲』だったか?」
あの人だーーーーー!!!!