第四話 修行風景~アリア・一視目~
今……私は義父さんの前にいる。
義父さんは、私の目を見ながら口を動かす。
「私はこれからしばらくは、アリア、お前の修行をつけよう。
だが、最初にこれだけは言っておく。
……途中で音を上げるな。以上!」
それだけ?
ってか、義父さんが強いのは分かるけど、何すんだ?
「まずはお前をころ……お前と模擬戦でもして、力量を測るつもりだったが、
……正直に言うと、お前は、まだ私と戦えるレベルでは、ない」
「なっ! 私だって一生懸命頑張ったんだ!
そこまで言う必要なんて「甘えるな」…………!!」
義父さんは、いつもの優しい笑顔ではなく、
真剣な表情でこちらを見る。
そこからは、殺気すら感じられる気がする。
「あの王から聞いた。
お前はまだ、『四人』とやらの中で、唯一『覚醒』とやらをしていないんだったな。
……まずは、その『覚醒』とやらを済ます。
だが、それだけに頼りきってはお前の負けだ。
まずは、基礎の中の基礎から鍛えなおしてやる」
「………………!!」
今改めて、義父さんの言葉で思い知った。
私は、この中で一番の足手まといだった。
『悪魔の王』に兄と一緒に会った時は、
最後までアイ兄に助けてもらって、私は何もしていない。
「……よろしく…………お願いします」
「ああ。
まずは、私の指通りに動け。それが訓練だ」
「はい……」
「まずは小手調べだ!
外的魔力強化を全身に。
そして、
『ストーム・ダンス』重複発動同時四回!」
「なっ!」
『ストーム・ダンス』重複四回?
何の拷問だそれは! 無茶すぎる!
「何をしている? さっさとやれ!」
「……はい!
外的魔力強化、『全身』!
風の精霊、我に答えよ。『ストーム・ダンス』!
同時発動! 風の精霊達よ、我に更なる力を! 『ストーム・ダンス』重複四回!」
詠唱+複数魔法行使詠唱を済ませる瞬間、体に風が纏われ、それが段々と
数を増していき、それと比例して体が軽くなるのを感じる。
しかし、
「は、あッ!? はぁ…………くッ!」
体を突然襲う疲労感。
それと同時に、必死に耐えなければ、直ぐに意識を奪われそうな感覚。
しかし、義父さんの感情の篭ってない声は、
無情にも次の指示を出す。
「よし。それで良い。
では次だ。
『ストーミング・ジャベリン』で、属性は水。
投擲用の投槍を二個同時生成」
!?
この風属性を大量に使ってなお、水属性の武器生成を二つ!!?
義父さんは私を殺す気!?
「はぁ……はッ! く……
水の精霊、我に答えよ。『ストーミング・ジャベリン』!
同時発動! 水の精霊達よ、我に更なる力を! 『ストーミング・ジャベリン』重複二回!」
水の固まったような、それでいて液体のような不思議な感触。
そして、それが短めの槍の形をしたものが、両手に握られた。
だけど……
「ぐ……はぁッ! ハァ! も、もう……だ、駄目…………」
次の瞬間、気付いたときには、
もう既に、両手の水の投槍は消し飛び、風で軽くなっていたはずの体は、
いつもの何倍もの重さのように感じて、更には、
体を強化していた外的魔力もなくなるのが感じた。
「は……ぁ…………あ……」
そして、強制的に、自らの視界が閉ざされた。
他ならぬ自分の意思によって……。
そうとうハードですね。
文才がないから、分かりにくいかもしれませんが、
自分に例えれば、
10㎞走らされたあと、休みなしで筋トレさせられたようなもんです。
まあ、自分では10km走れるかも分かりませんが(笑)
感想などなど、お待ちしています。