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第三十三話 別れ話

今回、チョイグロ表現ありますが。

まあ気にしなくても……良いのですか?

だって私が書くと前々雰囲気でませんしね。

 「どうだ? 良い眺めだろう? 『跳躍者』よ。

これが、我の芸術。さしずめ、『儚い生命』とでも名付けようか?

まあ、所詮人の命。

二、三減ったところで世界の意思は気にも止めないだろうがな」


やはりいつも通りに白く白い。

そして周りと比べて一際黒い『悪魔のディアボロス』は、見た目を

その子供のまま、口を引き裂くように笑う。


体中から汗がドッと噴出した。

この笑いは、完全に十全に、人殺しの笑いだ。それも至上凶悪な。


この笑い。

まだ超能力を知らなかった時。

そしてこの世界に来る直前に何度か、見た。


この時ばかりは、本能が全力で警告しているように思えた。


コイツは、『化物』なんだと。


「どうした『跳躍者』?

まさか予想だにしなかった訳でもあるまい?

救世主メシア』の不死を解き、倒した。

そして副産物オマケとして、『天使の末裔エンジェル』とあのクソジジィも地獄に送ってやった。

どうだ今の気持ちは? その心情を言ってみろ」


瞬間、汗は止まって、何がなんだか分からなくなった。


……副産物オマケ? ……


「ぐ……オマケ、だと? ふ…ざけるな。

……人の命を、玩具にしやがって!! テメエはゼッタイにっ!! ゆるさねえええええ!!!!」


もし、あの時『救世主』の言葉に耳を傾けていたならば。

もしかしたら『救世主』は、気付いていたのかもしれない。最初から、敵はただ一人。『悪魔の王』だと、な。


「許されなくて結構だ! 我は何も恵まんさ!!

その魂(身)に焼き付けろ、この『ヴラド』を!!」


おそらく『悪魔の王』にヴラドと呼ばれたソレ……真紅の剣は、その言葉に応じてさらに輝きを血より深くした。


「うおおおおおおあああああああああ!!!!!」


その身に風を纏い、両手にはカマイタチ。

音速に限りなく近づいたと思ったその時に、起こった。


『悪魔のディアボロス』が、ニヤリと再び、邪悪な笑いをした気がした。


「ぐっッ!!!????」


頬を硬く冷たい物がかする感触。


『ッッ!! アブねえ! あの剣、分かってたことだが、ただの剣じゃねえよ!!

気をつけろよ『俺』!!!!』


「分かって―――アガアアあああああ!??」


体を駆け巡る痺れ……いや、眠気、熱、寒気、覚醒、さらには恐怖、慈愛、嫉妬、羨望、性欲。

何から何まで、もう訳が分からなくなってくるぐらい……意識が混迷する。


「ふむ。『跳躍者』の血。美味しく戴いておいた。また頼もうか?」


「……けッ! き、きゅ…………吸血、鬼かってんだ、よ! この悪魔野郎!!!!!」


「……なるほど。『跳躍者』。お前の心情が分かったよ。

あくまで全世界の王である我に歯向かうか。仕方ない。……では別れの挨拶だ」


王は血を持った手をダラリと無気力に下げる。

無防備すぎる構えのはずなのに、意味無く心が恐怖と不安に侵されていくような……。


「『ではまず、別れの話を持ち出そう』」


ドスッ!!!


鈍い音を立てて、何かが土むき出しの地面に落ちる音がする。

そちらに視線を向ける前に。


視界が反転、既に俺は地面に倒れ伏しているようだった。


気付く。足からくる違和感。

そして倒れた視界の先に見える、灰色の布を纏った、足。


それが自分の足だと気付くのに、数秒かかった。


「あ、あ、あああああああ!!!!!!!!」


「『次は、別れ話しに決着を』」


また、音がした。

今度は別に、何が地面に落ちるわけでもない。

だが、分かった。もう一つの足から感じる違和感。


視界を辛うじて下に向ける。

やはり、見なければ良かったかもしれない。


ソレも、足だった。


「うああ、あおあああああああああがああああああああ!!!????」


「『仕上げは、相手に素敵な言葉を』」


また、まただ。

『悪魔の王』は、あまりにも無表情に、コチラを見据えながら、言葉をつむぐ。


その姿に、俺の精神は恐怖を覚えたらしい。

自分の意思とは関係無しに、両手で王から離れようとする体。

ズリズリと引き摺られる感じがしながら、もう諦めていた。


左手が、途切れていた。


ドサッと音がすれば、視界の遥か向こうに、こちらに赤くみずみずしい切り口を見せた、左手があった。


もう、恐怖しか持てなかった。


目の前の、『悪魔の王』という存在に。

あ、今更ですがいつ何話でも良いので、誤字訂正、または意見感想などありましたらどうぞ。

因みに、何か意見がある場合は、何か理由まで書いてくれるとありがたい。

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