第二話 地獄逝き『片道』切符
「此処は向こう側で言うところの、悪魔の巣窟。
そう! 感激しただろう? 我に着いて来た『跳躍者』と『天使の末裔』。
お前らが人間と天使の身にて、初めて此処に来た者達だ!」
後ろから声がし、そちらに振り返ると、『悪魔の王』が居た。
「此処が、悪魔達が住む場所か。
それにしても、俺らの世界に似せすぎだろ」
「当たり前だ。我の部下を総動員させて、我の所有する敷地内に作ったのだからな」
「……それで、此処で私とアイ兄が修行つけてもらうのか?」
すると、更にまた後ろから声が聞こえる。
「私もここにいる。
交互に、別々の範囲の修行をつける、で、いいのだよな、王様?」
この声は……マスターだ。
後ろから、マスターが歩いてきて、そして『悪魔の王』の横に付く。
「別々の範囲?」
「そうだ。我と貴殿、二人で二人をやるより、一人一人ずつで修行をつけた方が、
効率も良いし、我らも助かると思ってな。
まずは、我は魔力調整、魔力制御、魔力操作、魔力増幅、魔力纏鎧の修行をつけてやる。
一回二回死ぬぐらいは覚悟しておけ」
『悪魔の王』は、真剣な表情で俺達に話す。
自然、俺と妹も気が引き締まる。
……っていうか、死ぬ覚悟って、死ぬの確定!?
すると、マスター、こちらも真剣な表情でこちらを見てくる。
「私も、先ほどの話とは無関係だが、
お前ら二人は家族だ。だから、修行をつけて、誰が相手でも死ねないようにしてやる。
私がやることは、お前らに実戦を教えることだ!
アイ、今度こそ私が本気で修行をつけてやる! 覚悟しておけッ!」
……キャラが違うよォマスターァァ!
というか死ねないって何!?
「……なあなあ、アイ兄」
「ん? 何だ?」
アリアが俺に、二人に聞こえない程度の声で話しかけてくる。
「あのさ、これじゃさ、」
「うんうん」
「絶対に、確実に、『救世主』に会う前に、
私ら二人、あの二人に殺されるよな?」
「…………激しく同意」
すると、俺ら二人の話など、どこ吹く風な『悪魔の王』は、
こちらに歩いてきた。
「……さて、説明は済んだので、まずは……『跳躍者』!!!」
「ひッ! は、ハイッ!!?」
声が裏返った……。
「まずは、『跳躍者』。お前から地獄行きだ。
安心しろ、ここは地獄だが、更に最下層まで連れて行ってやる!
我と七人の従者も相手してやるから覚悟しろ!」
いきなり、有無も言わせず俺の右手を掴むと、
タンっ
と、足で地面を叩いた。
こ、これって……。
次の瞬間、俺は、落ちていた……。
「あ、あああああああああああああああああああ!!!!!?????」
SIDE アリア
今、目の前で兄さんが、『悪魔の王』と一緒に、
地獄に連れられていった……。
「……アイ兄。ちゃんと帰って来てよ……」(訳・ご冥福をお祈りします)
と、いつの間にか、
ガシッ
「え゛?」
そんな擬音がつくぐらい、私の、わ、わた、わたた、わたしの、か、肩に、
「……アイの、心配をしている暇が、あるのかな? アリア?」
義父さんの、手、手、てええええええええええええええええ!!!!!!
「いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!???????」
次話からは、それぞれの修行風景を別々に書きたいと思います。