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第十八話 『天使』が会う『哀』

アリアSIDE


「なあ、何が起こってるんだよ」


「………………」


色欲ベギーアデ』はまだ喋ってくれない。

すると、


「ッ! 『悪魔のディアボロス』!!」


いきなり目の前に現れた―――少年。

いや、ただの少年じゃないことぐらい知ってる。


「『色欲ベギーアデ』!」


「はっ!」


『色欲』は『悪魔の王ディアボロス』を前にひざまずく。

……キャラが違うのは置いとく。

それよりも今は!


「『悪魔の王ディアボロス』!! 一体何が起こってるんだよ!?」


「『天使の末裔エンジェル』か……。

そうだな、一言で言えば、『跳躍者ジャンパー』が関係している」


アイ兄が?

どういうことなんだよ!


「お前らのせいなのか?」


「……これから述べる事は事実だ。だが、それを聞いても落ち着け。分かったな?」


何のことか分からないが、うなずく。

すると『悪魔の王ディアボロス』は淡々と事実を述べていった。


アイ兄の修行の最初に、『悪魔の王ディアボロス』は一度、アイ兄を殺し、

そして悪魔変換を強要した。

更には、『七つの大罪デッドリー・シンズ』の、『傲慢』、『怠惰』、『憤怒』を

アイ兄の悪魔変換を早めるために戦わせたこと。


全部が全部、修行とは言えない内容だった。



「ッ!!! ふざけるな! 何でそんな事したんだよ!」


「……我は、信じていたのだよ。『跳躍者ジャンパー』ならば、決して悪魔には、

飲み込まれない精神を持っているだろうと。それに、そこまで進行が早くなるとは……すまない」


「!!」


いつもとは違い、その様子は、自分のやった事に対する謝罪の姿勢のみだった。

そう。『悪魔の王ディアボロス』もアイ兄を認めているだけなのだ。

多分、今回はソレが過ぎただけだ…………と、思う。


「もう、良いよ! それより、早くアイ兄を元に戻すぞ!

方法は!?」


「『跳躍者ジャンパー』自身の意識を、覚醒させるだけだ。

通常、悪魔変換とは、その元となる生物の精神の影を、悪魔として昇華させ、ソレを表層意識に持っていくだけだ。

だからと言って、ソレを殺しても、元の人間も死ぬだけだ。

なので、既に悪魔となった相手の元の精神を表層に持ってこさせるために、覚醒させるだけだ」


悪魔の王ディアボロス』は、つま先で地面を叩きながら説明する。


「……なら、私にできるのは……」


「そう。我と同じ、奴の精神を刺激する言葉を連発してやれ。

仮にも妹なのだろう? それなら、ああいう思い出の一つや二つあるだろう?

我にはころしあいしか印象に残っていないがな」


「ああいう思い出って何だよ!」


「……我は先に行く。

……『色欲ベギーアデ』。『天使の末裔エンジェル』を後から連れて来い」


「はい。分かりました」


するとまた一度、大きな地震がこの草原全体。いや、もっと広い場所に行き渡る。

そして、その揺れと同時に、

悪魔の王ディアボロス』は、その場から消えた。


「『色欲』!! 早くよろしく!」


「分かっていますよ」


『色欲』は、おもむろに私に近づくと、


ギュっと、私を抱きしめた。


「こんな時に何やってんだよ!」


ああ、何か柔らかいモノが当たる。


「いえ、危ないので。

…………では、いきます!」


『色欲』のつま先が、その揺れている地面に当たる。


その瞬間、視界は一転し、鉄格子の扉の前に、立っていた。

そして奥に見える、兄。


アイ兄は、もう見る影も無いほどに、変化していた。


体全体が黒い何かで覆われていて、ソレが無いのは、なぜか右手だけだった。

しかし、それでもその物体は常にうごめき、不気味さをかもし出していた。

そして顔の部分には、既に顔、という物は無く、代わりに黄色い光る相貌がポツポツと淡い光を放っていた。


その時、私は『色欲』の静止を背中に聞きながら、咄嗟に扉を開けて飛び出した。


「アイ兄!!!」



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