第九話 風呂…ではなく修行風景~アリア・四視目~
なんかおかしなことに。
「え、えっと、義父さん? 今なんて?」
「ああ、だから『色欲』さんだよ」
やっぱりあの『悪魔の王』の側近なんだよな。
だけど、なんで『色欲』なのにあんな性格?
大体は性格が名前に左右されると思ったんだけどな?
すると、後ろの方から、ザッ、ザッ、と、地面を踏みしめてくる音が聞こえる。
「どうも、こんにちは。
今回、『天使の末裔』様を鍛えさせてもらう『色欲』です。
では、これからは私にお任せください」
ついに来た。
「『色欲』?だっけ、よろしくな」
「はい。ではいきなりでしょうが……始めたいと思います」
いつの間にか遠くに離れてる義父さん。
良いよな見てる人は。
「では、いきます!」
シュインッ!!!!
「ッッ!!?」
刃物が滑る音を出して、一瞬で死角に回り込んできた!
多分、外的魔力強化をしてなかったらヤバかった。
「(無詠唱っ!)『ストームダンス』!
重複二回!」
!!
魔力が大幅に多くなったと聞いたから、やってみたがうまくいった!
風を二回纏い、その風に乗るようにすばやく移動しながら、『色欲』の動きを見る。
「なっ!」
と、思った瞬間、『色欲』の持っている何かの武器は、私の首を捕らえかけていた―――!
「わぁッ!?」
咄嗟の反射で、かがむ私の体。
頭の上を通る刃。
これは……
「鉤爪ェっ!!!??」
なんつー古臭い武器を使うんだ!?
「よく分かりましたね。まあ、分からないのもどうかと思うんですが」
そしてまたワンテンポ後には、姿が消えている。
相手は鉤爪、こちらはナイフ。
相性が悪すぎる!
「水の精霊、我に答えよ! 『ストーミング・ランス』!!!」
この手に水でできた槍を作る。
そして、一気に、
「突く!!!!!」
強化された身体能力を用い、『色欲』の位置を判断し、
そこに向かって一気に槍を突き出す。
まあ、本職では無いが、ナイフ、短剣の次は槍系といった感じだ。
しかし、
ザパァッ!!!
という、水が飛び散る音がして、
そして気がつけば、私の槍は、鉤爪の間に挟まれて、身動きが
「身動きがとれないっ!!」
そう判断し、水の槍を解除、後ろに跳ぶ。
解除された水の槍は、その瞬間に集まっていた水を飛び散らせる。
と、
「………………」
「………………」
「………………(怒)」
「その……すいませんでしたぁ!!!」
その、なんていうか、
弾けとんだ水が、思いっきり『色欲』にかかって、
びしょ濡れになったんだよ。
え? そんなの修行中には関係ない?
あなた達は私達の気持ち分かってない!
どこぞの漫画の修行じゃないんだし、女の人を汚したら、すぐ謝るのが常識だろ!!?
「……まあ、良いです。
ですが、このままでは女たるもの、いつでも体を清潔にしなければいけませんし。
『天使の末裔』様も、ずいぶん汗をかかれているようです。
……凄く微妙なタイミングですが、水浴びでもしますか?」
それって……風呂?
って、本当になんてタイミングなんだよ!
バトルパートの何行か後が風呂シーンとかふざけてんだろ!
「あ、そうしようか」
だけどさ、やっぱり俺もこんなでも女だ!
その誘い、受けて立つ!
まあ、次々回はサービスシーン?