表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冷遇武家の次男坊、乱世に揉まれる。今川了俊物語  作者: 山根丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/17

★帰還

 駿河への道中、貞世はくさくさしていた。


 初陣はさんざんなものだったし、なにより嫌な奴に格好の口実を与えてしまったのである。


 まあ、陰口叩かれないためだけに無理な戦い方をして兵を死なせるつもりもないけれど、それにしたって腹は立った。


 大体、初陣だっていうのに何をやるべきか伝えもしないどころか歪曲して伝えたあのカス(範氏)はなんだというのか。


 まったくもって忌々しい。


 貞世の心はまったく晴れなかった。行きに話し相手となってくれた殿村は範国の元に行ってしまったし、率いる兵が道すがら「貞世様がちゃんとしていれば」といった陰口をたたき続けるのである。これで気持ちが上向くはずもない。


 鬱屈とした気持ちは、駿河国に入っても変わらなかった。


 大体、駿河にしたって良い思い出などほぼない。大和でた彷徨っていた日々の方がよほど楽しい毎日だった。


 駿河に帰ってくる理由など、一応雨風防げる長屋と、


「貞世様っ!」


 この、幼馴染ぐらいのものだ。


 ※


 とととっ   


 ぽすっ


 貞世の胸に、少女が飛び込む。


 慣れない柔らかさと温かさに貞世はどぎまぎした。


 少女の名は薫子。貞世の幼馴染にして、許嫁である。


 おろす前の、肩に届くか届かないかほどの黒髪は、きちんと整えられているものの、ところどころに柔らかな癖があり、少し動くたびにふわりと揺れる。目はぱっちりと大きく、長いまつ毛に縁どられており、頬はまだ幼さの残る丸みを帯び、白い肌にうっすらと桜色が差している。


 ※


 甘い香りが鼻をくすぐる。ふにゅりと、やわらかな感触が胸部に当たった。


「……ご無事で、よかったです。」


「ああ、帰って来たよ。」


 殿村が見れば頬をつねったであろう。


 貞世は、おだやかな笑みと共に少女の髪をなでた。


 少女が、くすぐったそうに目をほそめる。


 一言二言言葉を交わすと、なぜか少女は頬を朱色に染めながら、うつむきがちに貞世に問うた。


「あ、の。貞世様。この後、すぐに、その、お、お屋敷に?」


「え?い、いや。挨拶に上がるのは明日だ。」


 貞世は戸惑う。


 そんな少年の様子も目に入っていない様子の少女は、意を決したように顔を上げた。


「さ、貞世様。ついてきてくださいっ!」


 貞世は、少女の剣幕に押されて、ただうなずいた。


 ※


 薫子に連れてこられたのは、町の中心部から少し離れたところにあるお堂だった。


 本堂が別にあり、ここはときたま住職が掃除に訪れる程度だったと思う。


 はて、なんのようだろうか。


 貞世は首をかしげる。このお堂は本当になんにもなく、なんなら仏像もなく、ただ建物のみがそこにある場所である。


 なぜここに?


 先ほどのただならぬ様子と、今の状況が一致せず、また首をかしげた。


 バタンッ


 薫子は、扉を閉めるとそちらに背を向けて貞世を見つめた。


 窓が多いせいか、存外中は明るかった。


「薫子?」


 薫子は何も言わず、ただ近づいてくる。


「本当に、御無事でっ、なにより、です。」


「あ、ああ。なあ薫子、ここになにが・・・」


 答えるより先に、唇が触れた。

 確かめるような、ためらいがちの口づけだったが、すぐに二度、三度と重なる。


「ご帰還の、お祝い、です。」


 顔を真っ赤に染めながら、薫子がはにかむ。


 幼いころから何度も見てきた顔なのに、その距離で見る薫子は、まったく未知の少女に思えた。


 ※


 戦のあとは、血が高ぶるものだ。ゆえに、攻城戦の後は陵辱が発生し、貴賤の別なく敵国の女を相手に欲を吐き出す。


 それは10の歳を迎えたばかりの貞世も例外ではない。


 ましてや、想い人であれば。


 幾度かついばむような口づけを交わす。


 貞世が息を吸うと、薫子の手が彼の胸元に触れ、ゆっくりと下がっていった。

 

 その動きに、言葉が喉で詰まった。


「・・・薫子。」


 名を呼ぶと、彼女はゆでだこのような顔で貞世の下半身を見る。


 薫子の肩に手を置くと、少女の顔が上がった。うるんだ瞳と目が合う。


 再び唇が塞がれた。


 ゆっくりと、薫子の手が揺れる。何度も、何度も、いつくしむようにやわらかに。


 そのまま、貞世は何も考えられなくなった。


 どれほどの時間が過ぎたのかは、わからない。


 貞世に渦巻くふつふつとしたナニカが鎮まったころ、はっと意識が覚醒した。


 見ると、薫子がかしずき、とろけた表情でぼうっとしていた。


 ゆっくり身体を抱え、立ち上がらせる。


「え、えへへ?」


 照れ照れと薫子が頬を触る。貞世の体液がべっとりとついたその指は、言いようもないほどなまめかしく思えた。


「続きは、もっと大きくなってからですよ?」


 平素に似合わぬお姉さんぶった口調で指を唇に当てると、薫子が、小走りでお堂を出ていった。


 ※


 ・・・


 ・・・


 ・・・


 薫子が幸福の面持ちで駆けていき、少しの間が空いて貞世がお堂から顔を出した。


 呆然とした表情で、お堂から出ようとして、こけている。


 夢見心地、と表現した方がいいだろうか。とにかく、まあ、ただならぬ様子である。


「ふーん?」


 範氏は、大木の影からお堂を眺め、にやりと口角を上げた。

 

 ☆

 なろうってどこまで性描写が許されているんでしょう。一応最大限配慮し、文字にせず、かつ何が起きたかわかる限界に挑戦したつもりです。警告を受けたら修正します。その際はノクターンノベルをご覧いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ