来訪は突然に
ピンポーン!
『ん~?誰か~来た~?』
お兄ちゃんのログインのアラームとは別のマイルームへの来訪を告げるチャイムが鳴る。
そのおかげでデフラグは中断され、目が覚めてしまった。
『誰が・・・って一人しかいないわね。』
『だね~。』
このマイルームのアドレスを知っているのは今のところフレンドの一人しかいない。
多分、以前の返答に対するアクションを持ってきたのだろう。
ただ、できれば前もって連絡をしてほしい。
『無視すると厄介だし、仕方ない。お出迎えしますか。』
おねぇちゃんが確認のためにパネルを開くと、そこには来訪者がKAGUYAと表示されていた。
その下の方に応答/拒否のダイアログが表示され、おねぇちゃんはあくびをしながら応答を押した。
『お待たせしました。どちら様でしょうか?』
相変わらずの豹変ぶりに、おねぇちゃんは多重人格説が濃厚になってくる。
でも、この前お兄ちゃんと会話した時、疾風さんに素の状態を見せているから意味はないと思うんだけど・・・。
『いきなりの事ですまない。マスターから、以前返事してもらった内容に関するメッセージを預かっている。メールでと思ったのだが、なぜか宛先不明の送信エラーとなってしまって送れなかったので、持参させてもらった。パブリックワールドのコミュニティールームを予約したので、そこで話がしたい。できれば出てきてもらえないだろうか?』
パネルに表示されたKAGUYAさんの背景にはパブリックワールドの中央ロビーが映し出されていた。
『わかりました。何か必要なモノは?』
『特にない。メッセージを渡すので、それについて、できる部分の回答をもらいたいだけだからな。』
『承知しました。すぐ出ます。』
おねぇちゃんはベッドから出ると、手早く身支度を整えていく。
私も起き上がり、身支度を整えてリビングへと移動する。
『さて、アタシがKAGUYAと交渉している間、申し訳ないけど盗聴のチェックをお願いね。』
『あいあ~い。まぁ~そんなこと~する人とは~思えないけどね~』
『何事も用心よ。ホント、アイツのおかげで無駄に気遣いをする羽目になるわ。』
そう思うなら、まずは話し方からやめればいいと思うんだけど、それを指摘するとめんどくさそうなのでやめておく事にした。
『それにしても~メールが~届かないのは~困った~ね~。』
『そうね。後でお母さんに確認してみましょ?』
「だ~ね~。』
『それじゃ、行くわよ。』
おねぇちゃんがリビングの扉を開けると、その数歩先にKAGUYAさんが棒立ちの状態で待っていてくれた。




