side 金霧進②
思わず口調が変わってしまうほどの男っぷりを感じさせてくれた店長にお礼を言い、早速プレゼント用に包装を始める。
ついでにゲームの利用状況を確認すると、プレイ開始まで2時間近くかかるらしいので、さっさと予約してしまう。
店長からもらったパッケージをよく見ると、確かに角が少し潰れていたり、アームを使って転がした時のひっかき傷みたいなのが見受けられるが、これを転売したりするわけじゃないから何ら問題ない。
人間と一緒で中身だ。中身。
・・・まぁ、中身2割、外見8割だろうけどさ。統計的に。俺の統計的に!
学校とかで知り合いを紹介されて、趣味のゲームの話をしたときに「なんか、イメージと違ってた。」と何度言われたことか。・・・チクセウ。
まぁ、それは置いておくとして、無事ラッピングも終わり、後はソウが来るのを待つばかりだ。
「そういえば、バトルする前からAIにダメだしされたって言ってたけど・・・・」
ふと思い返すと、どれほどひどい状態なのか、すっっっっごい気になる。俺の時も初めて作った時はひどいと思ったが、初期ポイントは450オーバーだったし、AIもある程度実践を経てからアドバイスをしてくれるようになった。
それを考えると、ソウに配置されたAIは開始早々にそれなりの知識を埋め込まれたという事になるのだろうか?後発組用に補助機能でもあるのだろうか?
他にも気になる事が多すぎてワクワクが止まらない。
そして集合時間5分前。ソウはあたりをキョロキョロしながら入ってきた。
既にゲームの利用予約はとっているので、伝えるためにソウに向けて歩き出すと、すぐに俺のことに気付いたようだ。相変わらず目が早い。
「よっ。ごめんごめん。」
ソウに状況を伝え、ビルドスペースに向かう。
そして早速ダメだしされた素体を見せてもらうと、確かにこれはひどい。
でも、かなり面白い。どうしてこうなったのか、いろいろ可動範囲やら装甲のつなぎ目などを調べる。
本当に全体的に満遍なくダメ出しをするところが見つかり、ますますプレゼント予定の初心者パックを渡すのが楽しみで仕方ない。
「・・・・。どこから手を付けたらいいと思う?」
「作り直したほうが早いな。」
「ん~。初めから作り直しても、結局二の舞になりそうで怖いんだよね~。」
「そんなお前に朗報だ。こいつをやるよ。」
そして満を持して初心者パックをソウに渡した。
訝しんではいるが、相変わらずの几帳面さで包装紙を丁寧にはがしていく。
そして完全に包装紙を取っ払うと、キラキラした目でそれを眺めていた。
やっぱりいいね。こう、誰かの笑顔ってこっちも嬉しくなる。とくにソウはクラスのみんなに気を使って自分のやりたいこととかを後回しにして、楽しんでいる顔をしているけど、いつも張り付けた様な笑顔ばっかりだし。
今日は本当に楽しそうだから、なおの事嬉しい。
そして一緒に装甲パーツ等を作り、残りは後日改めて続きをやることにした。
そしてお待ちかねのゲームだ。
受付カウンターに確認を取ると、あと15分くらいという事なので、呼ばれたらすぐに向かえる場所に陣取る。
「そういえば、俺とソウのチームで、2対2のゲームでいいよな?」
「あ、ごめん3対3にしてもらえる?」
「ん?なんでだ?」
「いや、俺の戦術がサポートAIが陽動を仕掛けて、俺が狙撃するスタイルでさ。合計2機になるんだよ。」
「AIが1機操縦するのか?」
「そう。」
なんかソウが不思議なことを言い出したぞ?
ソウが操縦する機体とAIが操縦する機体の2機って事?・・・え?ソウはAIのサポートなしで機体を動かすって事?それともAIがサポートしつつ別機体を操作するって事?そもそも1ユーザーが2機出撃できるの?
・・・・ソウが何を言っているのか理解できなくなった。
「それって・・・・大丈夫なのか?ちゃんと機体は動くのか?」
「ん~実は昨日、AIに急かされて訓練をしたんだけど、ちゃんと動いていたから大丈夫じゃないかな?」
なるほど、事前に確認をしているのなら大丈夫だろう。
「わかった。なら、3対3の設定でプレイしよう。今回の俺の機体は中距離系のオールラウンダー設定にしてあるから、好きなように動いてくれてかまない。」
「えっと~。じゃぁ、Mayaが近距離、金霧が中距離、俺が遠距離の縦一列の陣形になるって事であってる?」
「大体な。」
『受付番号81番の方~準備ができましたのでカウンターまでお越しください。」
ソウと戦闘スタイルのすり合わせをしていると、店内放送で呼び出しがあった。
「お?呼ばれたみたいだし、いっちょ楽しみますか!」
「あ、ああ。」
とりあえず、いろいろ生まれた疑問は全てほっぽって、俺は目の前のゲームをまず楽しむことに決めた。




