初の公式戦⑦
おねぇちゃんの不機嫌さたるや、今にも壁に殴り掛からん勢いの顔をしていた。
お願いだから殴らないでね?マイルームは大丈夫だったけど、加減を間違えればノイズがそこに付着して落とすの大変なんだからね?
そんなこんなしていると、格納庫にお兄ちゃんの映像がモニターに映し出された。
すると、おねぇちゃんのさっきまでの不機嫌そうな顔はどこへやら、涼しげな顔でお兄ちゃんと向かい合った。
すごいプライド・・・というか、もはや特技ではないかと思う。
「おつかれ~。いやはや、さっきは撃墜されて申し訳ない。」
『ほんとよ。ところで、アンタの宇宙酔いは大丈夫なの?』
「ああ、休んだら落ち着いた。」
『そう。』
なんだかんだでお兄ちゃんの心配をするんだったら、もう少し優しく対応してあげてもいいんじゃないかと思う。
そう思っていると、メッセージが飛んできた。
「ん?金霧からだ。えっと~。要約すると、時間があるからミーティングルームで話そうって事かな。」
『そう、ならアンタとKayaで行ってきたら?』
「あれ?Mayaはいかないの?」
『ちょっと機体の調整しておきたいのよ。』
「わかった。それじゃぁ、Kaya、行こっか。」
『は~い。』
お兄ちゃんが映っていたモニターが"in meeting room"という表示に切り替わったのを確認してからお姉ちゃんのほうに向きなおる。
『で~本当のところは?』
『本当も何も機体調整よ。次こそアイツが動きやすい状況にもっていかないと』
『ん~。とりあえず~”わかった。”よ~。それじゃ~ミーティングルームに行ってくるね~。』
おねぇちゃんを格納庫に残し、ミーティングルームに向かうと、今度はKAGUYAさんだけじゃなく、モニター越しに疾風さんがいた。
お兄ちゃんはすでに疾風さんと話し始めており、KAGUYAさんと私はちょっと蚊帳の外的なポジションになりつつ二人の会話を聞くことになった。
内容的には次の戦闘はチーム戦じゃなくて、1ユーザー対1ユーザーの戦闘にして時間いっぱいまで宇宙での戦い方についてレクチャーしてくれるという方向でまとまりつつある。
私は特にすることが無いので、KAGUYAさんの様子をうかがうと、無機質なロボット然としていて、一切の感情が読み取れない。
『・・・どうした?』
コッチの視線に気づいたようで、KAGUYAさんは顔を私の方に向けた。
『えっと~お聞きしたいことが~あるのですが~いいですか?』
『答えられることならな。』
『あの~なんで~アバターが~機体と同じ~イメージ画像なのでしょうか?』
『それはこちらが聞きたい。お前たちはどうしてそんな・・・・アニメチックなアバターなのだ?』
『え?これは~ママが設定したもので~デフォルトは皆~こんな感じじゃないんですか?』
『違うな。私たちの時は基本的に一番初めに登録した素体をアバターイメージとして設定され、後はユーザーが更新したイメージで登録される。』
『そうなんですね~。』
となると、私とおねぇちゃん以外は皆ロボットっぽいアバターしか設定できないって事?
『有料コンテンツとかで~登録できたり~しないんですか~?』
『ふむ。聞いたことがないな。』
そうなると、実装されていても、ユーザー解放されていない要素の可能性がある。
う~ん。しばらくは人目に付かない方がいいのかな?
『ありがとう~ございます〜。』
『いや、こちらも聞きたいことがあるのだがいいだろうか?』
『はい~』
『お前たちの人格はどうなっているのだ?二人とも別々なのか?それとも並行処理で、大本は一人なのか?』
『えっと~二人とも~別々です。私には~おねぇちゃんの~考えていることは分からないし~。おねぇちゃんも~私の考えは~わからないと思います~。』
『そうか、双子というから、てっきり・・・・な。向こうも話がまとまったらしい。』
そう言ってお兄ちゃんたちの方に意識を向けると、楽し気な顔をしている二人が映っていて、私も頑張らないとと思った。
明日は久しぶりのコロナワクチンの接種日・・・




