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新しい機体は至れり尽くせり

格納庫に移動すると、Mayaが仁王立ちで待っていた。


「どうよ!この洗練された機体は!」


俺が格納庫に移動するなり、そう言って4体の機体を自慢しだした。


「ホントは~地上用と宇宙用に分けない様にしたかったんだけど~。機体ポイントがねぇ~。」


はい。それについては金霧(かなぎり)にお願いするようにします。全力でお願いしていきます。


「というわけで、アンタの機体説明からさせてもらうわ。」


どういうわけかわからないけど、Mayaがそう言って2つの機体にスポットを当てた。


「まず、アンタをサポートするするAIはKayaがするわ。」

「よろしくね~。」

「ああ。よろしく。」

「理由は訓練の時に担当だったから、そのまま引き継いでもらう感じね。で、機体の説明だけど、まずは右側。これは地上用。粒子系長距離ライフルでの攻撃を主目的に置いているわ。移動はホバー走行。これは移動時に歩く、走る、スラスターで飛ぶという3つの組み合わせをするには、まだアンタには難しいだろうから、その負荷を減らすための処置ね。それだけじゃなく、スラスター光でバレる高速移動したとしても、スラスターは足回りに集中するから、移動先が分かりづらいようになってるわ。」

「なるほど。」


俺がなるべく操作しやすい方法を模索してくれているようだ。

俺だったらそんなこと考えることなく、早そうという理由だけで、いろんな所にスラスターを付けてしまいそうだ。


「で、注意点はここ。長距離攻撃型のセオリーに反して、装甲は薄くしてあるわ。代わりに小さめのシールドを装備させてる。それで対長距離戦防御用にしているわ。」

「長距離攻撃で撃ち合うなら、シールドより装甲を厚くするべきじゃないか?」

「それも考えたんだけど、アタシが陽動として敵を引き付けるのに、アンタもポジショニングに移動が必要になった時、装甲を厚くして移動がおろそかになったら意味がないじゃない?」

「あ、Mayaがおとりになってくれるのか。てっきりディフェンダーの頭でいた。」

「それもKayaと話したんだけど、長距離攻撃するのに、アンタを護衛するために1機近くに置いておくのってもったいないじゃない?」

「確かに。」


実際の戦闘では狙撃手の隣に観測員がいて大まかな位置を伝えるらしいのだが、その役目はサポートAI、つまりKayaが行ってくれるので、傍に待機してもらう必要はない。

となると、ディフェンダーとして近くにいたら、本当に長距離攻撃の打ち合いの盾としか意味合いはなくなり、俺自身が盾もって移動するのであれば、そもそもそこにディフェンダーは必要ないということになる。


「次に~左側。これは宇宙用の機体~。装備は実弾系の長距離攻撃機。装甲固めでスラスターはバックパックに集中してあって~こっちも基本動作としては~1撃離脱~。」

「両方とも長距離からの一撃離脱なら、てっきりホバー走行がバックパックでの移動になるだけだと思ったけど、武装とかいろいろ違うんだね。」

「ポイントがねぇ~。」

「はい。生意気言いました。すみません。」

「冗談冗談~。お兄ちゃんの機体役割の特性上~地上と~宇宙では~優先順位が違うんだよ~。」


Kayaはそう言ってパネルを一つ用意した。


「簡単に~移動力~攻撃力~防御力と~優先しなきゃいけない項目があった時~地上では~何が優先されると思う?」


そう言ってパネルには提示した3つの項目と、その両脇に”地上での優先度”、”宇宙での優先度”と、表の項目が表示された。


「えっと・・・防御力?」

「残念~。それは~宇宙の場合~。」


そう言うと、パネルの宇宙での優先度、と防御力の組み合わせの所に”1”と表示された。


「宇宙は地上と違って~攻撃を邪魔するものがデブリくらいしかないんだよ~。だから、宇宙では~防御力が優先されるの~。」

「アンタ、訓練の時に四苦八苦してたでしょうが。」

「あ。移動力?」

「なんでそこで外すのよ。自分で言ってたじゃない。”全然当たらない”って。」

「え?攻撃力?それこそ優先度低いんじゃないの?」

「逃げるだけなら~優先度は低いけど~敵を倒さなきゃいけないのに~当たらなかったら~意味ないよね?」


Kayaに言われて初めて気づいた。

確かに。敵を倒すことを目標にしているのに、逃げ回ってるだけとかありえない。

まぁ、陽動としてだったらそれでいいかもしれないけど、俺の機体特性はアタッカーだから、攻撃を当てなきゃいけない。

そして、パネルの地上での優先度、と攻撃力の組み合わせの所に”1”と表示された。


「アンタ、地上で攻撃するとき、とっさに弾道計算なんてできないでしょ?だから高ポイントを払ってでも粒子兵器にする必要があったのよ。逆に宇宙ならよっぽどのことがない限り慣性の法則に従って直線に進むから、弾道計算がいらない。かつ粒子攻撃の時より攻撃地点が分かりづらい上に、低ポイントでそれなりの攻撃力が得られるようにしたのよ。」

「だから~地上用と~宇宙用で~設定が違うんだよ~。」

「なるほどね。」

「因みに~遠距離の1撃離脱戦法にしたのも~。まずは慣れるためだね~。」

「突撃型も考えてはいたんだけど、まずはチームで攻撃することに慣れましょ。」


Mayaたちはなるべく俺に負荷がかからない設定を優先してくれていた。

正直、弾道計算とかよくわからないし、それをいちいち計算しながらとか、すぐにこのゲームに飽きそうだ。

彼女たちが頑張って戦略を練ってくれたんだ。

俺は俺でできることをしようと思う。

・・・。とりあえず、金霧が好きなお菓子でも準備するか?


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