改めてデブリーフィング
一夜明け、俺はすぐにPCのアプリを起動することができなかった。
学校もないし、朝から出かける用事があったわけでもない。
ただただアプリを起動させる気が重かっただけだ。
何と言うか、親に怒られるのが分かるテストの点数になる答案用紙を先生に提出しなければならない。そんな重さだ。
もちろん、その原因は俺になるのだが・・・。
「もうすぐ10時か・・・。会わないわけにはいかないよなぁ。」
約束をしていた訳で、昨日の二人の様子から全力で作業してくれていると思うので、破るわけにはいかない。
PCのアプリを起動して格納庫を開くと、そこには4タイプの機体がそろっていた。
でっかいシールドを持ったモノもあれば、自身の身長よりも長い砲身を持ったモノもある。
「お~。かっけ~。・・・あれ?」
機体のかっこ良さに目が行って気付かなかったけど、MayaとKayaがいない。
あたりにはパネルがとっ散らかった状態で表示されっぱなしになっているが、二人の姿が見当たらない。
モニター画面を移動して周りを一周させてみるが、パネル表示だけで二人の姿はない。
「どこにいるんだろ?マイルームかな?」
メニュー画面を開き、マイルームを選択する。
何気にマイルームを訪れるのは初めてな気がする。
インストール初日は何もしないで終わったし、昨日は格納庫に二人がやって来ていたので、ちょっと気になる。
画面が切り替わると、そこは淡白な部屋だった。
コンクリート打ちっぱなしの部屋、窓は1つあるが、明り取りの用途のためにあるのか、その窓からは景色が見えない。
部屋の中央には簡素なテーブルに業務用のパイプ椅子。そしてそのパイプ椅子に座り、机に突っ伏している二つの影。
その周りは格納庫と同じようにパネルだらけで、声をかけて良いものかとすごく悩む。
が、それを感じ取ったかのように、のっそりとKayaが体を持ち上げた。
「お兄ちゃんおはよ~。」
「あ、うん。大丈夫?」
「大丈夫だよ~。ね~おねぇちゃ~ん?」
「・・・ええ。問題ないわ。」
Mayaは机に突っ伏したまま動こうともしない。
「えっと、10時からって事だったけど、また今度にしようか?」
「大丈夫よ。午後から友達と遊ぶんでしょ?最高の機体を用意してあげたから覚悟しなさい。」
何の覚悟が必要なのかはわからないけど、相当に煮詰めてくれたようだ。
「まずは昨日の戦闘データの解析結果から説明するわね。」
Mayaがそう言って体を起こして手を振ると、あたり一面に散らばっていたパネルが一気に消え、大きめのパネルがモニターに表示された。
「まずアンタの戦闘結果の課題と対応方法から。Kaya。」
「これだね~。」
モニターに課題点、期待値、期待値への対応とまとめられたものが表示された。
「まず、課題点ね。これはアンタも気づいていると思うけど、機体操作が遅い点ね。理想は歩く、走るだけじゃなく、飛んで跳ねて動けることね。そのためには数をこなして慣れてもらうしか方法はないわね。」
「小遣いが吹っ飛びそうだな。」
「ただ~。こればっかりは経験がものをいうものだし~私たちがサポートに入るから~当面は気にしなくていいかな~。頑張って動かそう!としか言えないね~。」
「無理に回数をこなそうとしなくていいわよ。いくらアタシたちにとっては現実と言えど、これはゲームよ?楽しめなかったら意味ないのよ。」
「それとも~。お兄ちゃんは~ランカーに~なりたのかな?」
「いや、悪いけど、そこまでの覚悟はなかった。」
「だったら、程々でいいのよ。自分のペースでゆっくりとね。」
よかった。期末とか中間テストの時期もゲーム三昧とか、親に何を言われるかわかったもんじゃない。
考えるだけで恐ろしい。
そりゃ~いい成績を残せたら嬉しいけど、こだわりがあるわけじゃない。
「で、次の課題は攻撃時の照準ね。まぁ、これについてはこちらで対応策を考えて・・・」
と、それから約1時間ほど課題と対応策についてのデブリーフィングが続いた。
「こんなもんかな?」
「なにか~気になる事は~あるかな~?」
「いや、情報がいっぱいいっぱいで・・・。」
「だよね~。えっと~。あ、ここに~携帯のアプリからでも見れる様に結果を格納したから~暇なときに見てみて~。」
そういって資料庫と書かれたアイコンに”New!!”とイメージ画像が追加された。
「あとは、さっきの課題対策をした機体の説明ね。これは格納庫で直接行いましょ。先に行っているわね。」
そう言ってMayaは部屋に唯一の扉を開いて出ていった。
俺もメニューを開き、格納庫へと移動をすることにした。




