我慢できない!
「うなぁ~。これ~難しいよ~。」
「ほんとに!!アイツの動作解析を行っているだけなのに、なんでこうもノイズが多いのよ!」
おねぇちゃんが声を荒げるのもわかる。
格納庫からマイルームに場所を変え、机に座って気分転換に飲み物を飲みながら弱音を吐く。
だって、いろいろおかしいんだよね。一番顕著なのが最終戦だ。
敵のロックオンよりこちらが先にロックオンしていたはずなのに、ロックオンログは見当たらない。
でもこちらからの射撃ログは残っていて、そのあとにこちらから敵機にロックオンするログが残っていたり、スラスター移動していたタイミングは疾走ログになっていたりと、動作した時の時間や行動がバラバラ過ぎて、精査と置き換え作業だけで日付をまたぎそうだ。
「これって~私たち二人の動きが~ごっちゃになっちゃってるのかな~?」
「もしそうだとしたらバグよ!バグ!だって、アタシとKayaのパーソナルIDは別々なのよ?ログ記録の検索にはアイツのユーザーパーソナルとアタシたちのパーソナルIDで紐づいたものを1戦ずつ、それぞれ個別で引っ張り出してるんだから、もし混じっているなら、その時点でおかしいのよ!」
確かに。
おねぇちゃんの言う事は一理ある。
「そういえば~。聞いても良い~?」
「何?」
「おねぇちゃんは~なんでお兄ちゃんのことを~アイツとか~アンタって言うの~?」
「また唐突ね。アンタこそなんでお兄ちゃん呼びしてるのよ。」
「だって~お兄ちゃんじゃない?」
「それと一緒よ。アイツって呼びやすいからアイツの呼び方はアイツよ。」
「ふ~ん。てっきり~恥ずかしいからだと思ったよ~。」
「・・・んなわけないじゃない。それに、アイツのプレイヤーネームは[まったりゆったり]よ?」
「ま~君とかゆ~君とか?あとはご主人様やマスターとかいろいろあると思うけど~?」
「くだらない。アイツで十分よ。」
「ふ~ん。」
「聞きたいのはそれだけ?」
「うん。」
「なら、さっさと入れ替え済ませちゃいましょ。」
「は~い。」
その後、黙々とデータの入れ替え作業をしていたが、人間時間で30分は経っただろうか?
不意にお姉ちゃんが机を力いっぱい叩いた。
「あ゛~~!もう!無理!!こんな事毎回やってたら、アイツの時間を無駄に浪費することになるじゃない!ちょっと情報管理局に文句言って情報取り直してくる!Kayaはもしもに備えてそのまま置き換え作業してて!!」
おねぇちゃんはそう言うと玄関のゲートをこのゲームの電脳空間でAI達が共通で使っている中央ロビーに繋いでさっさと行ってしまった。
・・・さて、これは事態解決に動いてくれたおねぇちゃんを応援すべきか、それとも押し付けられたと文句を言うべきか。
悩みどころである。




