Mayaは悩む。Kayaは・・・
「模擬戦AIめ、手加減という言葉を知らんのか?」
3戦目の準備をしつつ、アタシは模擬戦AIに対して不満を漏らす。
いくら決められた設定とはいえ、連続して同じパーソナルデータを使ってるし、1戦目がグダグダだったのだ。それくらいのロジックがあってもいいのではないのか?
出撃設定の操作をしているのだが、イラつきからか、その操作が雑になってしまう。
「アイツが3戦目を自分の意志で挑戦してくれるのはうれしいけど・・・。」
下手を打って、このままトラウマを抱えられても困る。
1戦目はシールドで防いでいたが、その操作はほとんどアタシがやっていた。
「おねぇちゃ~ん。ちょっと~相談があるんだけど~。」
「相談?」
そんな中、Kayaがのんびりした声で話しかけてきた。
「次の戦闘では~武装を~実弾兵装から~粒子兵装にしてみようと~思って~。」
「でも、コストが足りないんじゃない?」
「その辺は~何とかする~。」
Kayaは軽く言うが、次の戦闘開始までのカウンターを見ると4秒となっている。
「開始まであと5秒ないのよ?」
「500ミリ秒で~何とかする~。って言うか、現在している~。」
アタシたちAIにとって、時間は有限ではあるが、無限に近い。
結局のところ、会話や作業は電子信号のやり取りに過ぎないので、極端な話、人間が1時間かかる作業を1ミリ秒もあれば、余裕でこなしてしまうことができたりもする。
そんな中、それなりの時間を使うということは結構な調整をしてくるみたいだ。
「わかったわ。後、アタシもなるべく早く合流できるようにするから。」
「おねがいね~。」
Kayaの言動はのんびりとしているが、多分、相当苛立っているようだった。
だって、”相談せずに”動いているのだ。しかも自分から。
一応は相談という形で連絡してくれているが、間に合うのか?という質問に対して、既に実行している。と、答えていることからもわかる。
さらに言えば、多分その調整はアイツが3戦目について言及した瞬間から裏で始めていたのだろう。
その時間から合わせると約3分弱。
どれだけ細かく調整をしてきているのかわかったもんじゃない。
苛立っているいる対象が”どっち”に対してかはわからないが、さっきの相談内容からすると、模擬戦AIに対してだろう。
だって、アイツに対して苛立っているなら、兵装じゃなくて素体自体のメンテナンスをする必要がある。
そんな中、武装の変更。それも実弾から粒子兵装に切り替えたということは、”確実に”相手を破壊することを目標に調整してきているということなのだから。
電脳空間にそんなものはない。と言われてしまえばそれまでだが、アタシから見たKayaの背中には,、一瞬不動明王が見えた気がした。




