2 友達作り(2)
〇学園・食堂
エリン、食事をしている。
ノアとロイ、トレーを持ち、歩いてくる。
ノア「今日はひとり?」
エリン「ええ」
ロイ「珍しいですね。ウィルはどうしたんです? あっちでにぎやかに食べてますね」
ロイ、ウィルたちの方を見る。
エリン、うつむく。
ノアとロイ、見合う。
ノア「ここ、いいかな?」
エリン「ええ」
ノアとロイ、座る。
ロイ「喧嘩でもしたんですか?」
エリン「いいえ。むしろ友達になったわ」
ノア「え?」
ロイ「よかったじゃないですか! 何を落ち込んでるんです?」
ノア「友達じゃなかったの?」
エリン、うつむく。
ロイ「そうか! 友達だと思ってたのに、ウィルには違ったって落ち込んでるんですね」
エリン、首を横に振る。
ロイ「違うか……。じゃあ、エリンが思っていた以上にウィルに友達がいっぱいいて落ち込んでるんですね!」
エリン、首を横に振る。
ロイ「違うか……。じゃあ――」
ノア「友達が嫌だったの?」
エリン、うつむいている。
ロイ「どういうことです? 嫌なら断ればいいじゃないですか」
ノア「そういうことじゃなくて……」
ロイ、眉をひそめ、首をかしげる。
エリン「ごめん。めんどくさい女よね」
ノア「そんなこと――」
エリン「わかってる。自分勝手よ」
ノア「みんなそういうものじゃないかな」
エリン「そうかしら。ノアでもそういうことある?」
ノア「あるよ」
ロイ「完全に置いていかれました……」
エリン「ごめんなさい。意味わかんないわよね」
ロイ「理解力あるつもりでしたが、僕はまだまだのようです」
エリン「そんなことないわ。心配してくれてありがとう」
エリン、微笑む。
3人、食事をする。
ブレンダ、コーヒーを飲んでいる。
ブレンダ「つまり、そのタヨウセイ? を死なせないように友達になろうとしてるってわけ?」
サラ「そう」
ジョー、蒼玉を見る。
ジョー「この玉にそんな意味があったなんて」
トム「僕も協力したい!」
シンディ「妖精好きだものね」
トム「うん!」
サラ「そっか。わかった。いいよ」
サラ、翠玉をトムに渡す。
トム「やったー!」
トム、玉を両手で持ち、微笑む。
ジョー「お揃いね」
ジョー、トムを見る。
トム「うん!」
ブレンダとシンディ、見合う。
ブレンダ「私たちにはくれないの?」
シンディ「多様性には必要だと思うわ」
サラ「ちょっと待って。仲良くなりたいか考えさせて」
ブレンダ「ちょっとお! 謝ったじゃない」
サラ、笑う。
サラ「冗談だよ! ウィル、あんたが決めて」
ブレンダとシンディ、ウィルを見る。
ウィル、小袋から二つの玉を出す。
ブレンダに紫玉を渡す。
シンディに藍玉を渡す。
ウィル「これからよろしく。二人とも」
シンディ「ええ」
シンディ、微笑む。
ブレンダ「よろしく」
ブレンダ、ウィルにウインクする。
ウィル、苦笑いする。
〇同・裏庭(夕)
ラルフ、ベンチに座っている。
3人の男子生徒、歩いてくる。
男子生徒A「お! 1年だ」
男子生徒B「おい、そこの1年。名前は?」
ラルフ、男子生徒たちを見る。
ラルフ「ラルフ」
男子生徒C「ぼっちなのか? かわいそうに」
ラルフ、目を逸らす。
男子生徒A「俺たちの仲間に入れてやるよ」
ラルフ「仲間?」
男子生徒A「3人分のコーラ買ってこい」
ラルフ「パシリってことか。だったら断る」
男子生徒B「いい度胸してんじゃねえか」
男子生徒C「俺ら3年だぞ。逆らうってのか!?」
ラルフ、3人を睨む。
ラルフ「3年にもなってくだらないことするんだな」
男子生徒A「なんだと!」
男子生徒A、ラルフの胸ぐらをつかむ。
ラルフ「触んなよ」
男子生徒A、殴ろうとする。
ラルフ、電撃を放つ。
男子生徒A、吹っ飛ぶ。
男子生徒たち驚く。
男子生徒B「やりやがったな!」
男子生徒B、拳が岩になる。
ラルフに殴りかかる。
ラルフ、かわし、蹴る。
男子生徒B、転ぶ。
男子生徒C「くそ!」
男子生徒C、手を伸ばす。
3メートル以上伸びた腕をラルフの腕に絡みつける。
ラルフ、驚く。
ラルフ「な、なんだこれ」
男子生徒C「驚いたか。これで身動きとれねえだろ」
ラルフ、腕を動かそうとする。
男子生徒C、しめつける。
ラルフ、顔をしかめる。
男子生徒AとB、立ち上がる。
男子生徒A「よくやったな」
男子生徒C、微笑む。
男子生徒B「今度はこっちの番だぜ」
ラルフ、睨む。
男子生徒B、ラルフの腹を殴る。
ラルフ、顔をしかめる。
〇同・廊下(夕)
ウィル、歩いている。
窓の外を見る。
ラルフが男子生徒たちに殴られている。
驚き、走っていく。
〇同・裏庭(夕)
ラルフ、疲れている。
男子生徒A、ラルフを見ている。
男子生徒A「わかっただろ? 逆らったらどうなるか」
ラルフ「ああ……おまえらがクソだってことがな」
男子生徒C、ラルフの腕をしめつける。
ラルフ、顔をしかめる。
男子生徒A「わかんねえやつだな」
男子生徒B「バカなんじゃねえのか?」
ラルフ、男子生徒たちを睨む。
ラルフ「殺すぞ。おまえら」
男子生徒たち、顔がこわばる。
男子生徒B「そ、その状態で何ができんだよ」
男子生徒C「強がってんじゃねえよ」
男子生徒A「もっと痛い目見ねえとわかんねえみたいだな」
男子生徒A、殴ろうとする。
ラルフ、四方八方に電撃を放つ。
男子生徒たち、吹っ飛ぶ。
ラルフ、腕を押さえ、立っている。
男子生徒AとB、顔をしかめている。
男子生徒A「いてて……。や、やるじゃねえか……」
男子生徒A、体を起こす。
男子生徒B「1年のくせに高度なことすんじゃねえか……」
男子生徒B、体を起こす。
男子生徒C、倒れている。
男子生徒AとB、男子生徒Cを見る。
男子生徒A「おい、大丈夫か?」
男子生徒AとB、見合う。
立ち上がり、男子生徒Cのもとに歩いていく。
男子生徒B「おい」
男子生徒B、男子生徒Cの体を揺らす。
男子生徒C、ぐったりしている。
男子生徒AとB、見合う。
男子生徒A「マジかよ! おい! しっかりしろよ!」
男子生徒A、男子生徒Cの体を揺らす。
ラルフ、男子生徒たちを見ている。
男子生徒B、ラルフを見る。
男子生徒B「こいつ……やりやがった……」
男子生徒A「おい! 早く先生呼んで来い!」
男子生徒B「お、おう!」
男子生徒B、走っていく。
ラルフ、歩いていく。
男子生徒A、ラルフを見ている。
ウィル、走ってくる。
男子生徒AとCを見る。
男子生徒C、咳をする。
男子生徒A「あ! おい! 大丈夫か!?」
男子生徒A、男子生徒Cの体を揺らす。
男子生徒C「あ、ああ……。なんだ? 何が起きたんだ?」
男子生徒C、体を起こす。
ウィル、辺りを見渡し、走っていく。
男子生徒A、ウィルを見ている。
〇同・男子寮前(夕)
ラルフ、壁にもたれ、座っている。
ウィル、走ってくる。
ウィル「ラルフ!」
ラルフ、ウィルを見上げる。
ラルフ「なんだ」
ウィル「大丈夫? さっき裏庭で……」
ラルフ「見てたのか……」
ウィル「医務室行った方がいい。あ、それか、エリンに頼もう」
ラルフ「いい。疲れた。ちょっと休んだら部屋に戻る」
ウィル「わかった。エリンを呼んでくるよ」
ラルフ「いいって。あいつらにやられた傷というより、能力使って疲れただけだ」
ウィル「そっか……」
ウィル、ラルフを見ている。
ラルフ「今度はなんだ」
ウィル「何があったの?」
ラルフ、目を逸らす。
ウィル「何か言われたの?」
ラルフ「べつに」
ウィル、ラルフを見ている。
ラルフ、ウィルを見上げる。
ラルフ「しつこいな。何もないって言ってるだろ」
ウィル、ラルフを見ている。
ラルフ、ため息をつき、立ち上がる。
ラルフ「おまえには関係ない」
ラルフ、寮に入っていく。
ウィル、ラルフを見ている。