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8話 青山さんとデート

ギャルの青山さんとデート



 9月2日。

 午前。


 夏休みが終わって最初のデートが始まった。


「それでどこ行く?」


 青山さんが訪ねる。


 時刻はまだ十時。


 遊びに行くなら時間に余裕はある。


「じゃあ、あそこ行こうか」


「どこ?」


「アニメイト」


「近くの?」


「いや、そことは別の駅。ここから30分くらい電車に乗ったところにある奴」


 ここらへんの近くにアニメイトは二か所ある。

 

 一つは数駅先にある近くのアニメイト。

 もう一つは十数駅先にある遠くのアニメイト。


「確か遠くの方では、9月からアニメイトの近くの店でコラボカフェがやってるらしくて」


 8月の間に、青山さんを口説くためにアニメイトやアニメ関係のイベントは調べていた。


 そこのコラボカフェは9月に始まることもあり、ループで8月より先にはいけないからと諦めていた。


 しかし今は9月2日。

 コラボカフェは始まっている。



「せっかくだから寄っていこうよ。それに、この間行きたいって言ってたでしょ」


「ええ! いいの!?」



 青山さんは興奮して大きな声を出す。


 青山さんはギャルだが、オタクでもあるのだ。


 彼女はアニメと漫画が大好きで、俺も夏休みの間にはそれを意識してデートしていた。


 アニメイトにも何度も一緒に行っている。



「じゃあそこ行こっか!」



 その言葉と共に、俺と青山さんは駅に向けて歩き出した。






 そして青山さんと俺は、互いに手を恋人つなぎで握りながら駅の方へと向かっていた。


「あはは、こんなことになるとか考えてなかったわ。マジで」


「ほんとごめん」


 青山さんの言葉に、俺はただただ謝るしかない。


 話の内容はもちろんこのハーレムのことだろう。


 彼女たちからすれば、夏休み最終日に交際を始めたと思ったら、その2日後にはハーレムの一員になっているという状況だ


 そんなことになるだなんて思いもしなかっただろう。


 俺も思わなかった。


 みんなが同意した結果ではあるが、このことになった大本の原因は俺にある。


 反省して謝るしかない。



「んー? あやまんなくていーよ、別に」



 えへへ、と笑う青山さん。



「別にいーの。他の子がいても」



 なんで、と訊く前に青山さんは続ける。


「だってさ、変わんなくない?」


「何が?」


「他に彼女がいても、変わんないってこと」


 ええと、と青山さんは言葉を考えている様子。


「ライバルがいてもさ、それでささっちがウチのこと嫌いになるわけじゃないじゃん」


「それはまあ、そうだな」


 他に彼女がいても、それで青山さんと別れるというわけじゃないし嫌うわけでもない。


 そもそもルール的に、俺の方から別れるという選択肢はない。



「ウチはささっちが好き。大好き。嫌われたくないし、別れたくもない」


「ハーレムでもいいよ」


「他の人を好きになってもいい」


「ウチのことを好きでいてくれるなら、それでいい」


 それにさ、と彼女は続ける。


「ささっちの一番なになることは諦めてないし」


 彼女はギュッと手を握る力を強くした。


「他に何人いても、ささっちが一番大好きな彼女になっちゃえばいいの。他の子が嫉妬しまくっちゃうくらいの仲になればいいんじゃん?」


「青山さん……」


 そして青山さんは俺を見て――。



「えい。隙あり」



 口と口を重ねてきた。


 キスをしてきた。



「ほんとは、デートの終わりにちゅーするつもりだったんけど」



 口を離したあと、青山さんは照れてそっぽ向きながら言う。


「でもごめん。我慢できなかった」


 そしてちら、と上目遣いで俺の方を見た。



「好き」



 そしてもう一度、こちらに顔を近づける。

 

「デート続けよっか?」


 そして、2回目のキスをした。



次回は4月3日18時です。

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