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ダンジョンで実験していたらトンデモナイ物を見つけてしまった……どうしよう?

 魔法学校入学から半年が過ぎた。

 僕は今日、王都近くのダンジョン(初心者向け)まで一人でやってきている。


 通常ダンジョンへ入るには通常六人のパーティを組む。(最低でも四人だ。)

 しかしどういうわけか……いや、判らないふりをするのはよそう。知り合いの全くいない僕はパーティ編成からあぶれてしまっていた。

 同時に入学した者はすでにパーティを組んでいて前衛・・の冒険者(これも長期契約らしい)を雇いダンジョンに挑んでいる。


 途中入学とも言える状態の僕には組むメンバーがいなかったのだ。

 同じ魔法の系統のクラスメイトなら組むことが考えられたが、”空”系統だけ・・を履修しているのは僕だけだった。

 しかも、”空”系統の魔法を履修しているのは一学年以上の生徒で僕と同期入学の生徒はいない。


 それならその他の学科、物理や数学を履修している者で組むことができそうなのだがそれも叶わない。

 物理や数学の成績が優秀というより優秀すぎた為、”学科担当代理”と言う役職に就いてしまった。

 断ればよかったのだがその時は今のような状況になるとは考えなかったし、”学科担当代理”で貰える手当と特典が良かったというのもある。

 ちなみに特典は試験免除と図書室の開放(一学年では入れない区画がある。)、実験室の利用許可など様々な特典があった。

 ”学科担当代理”の仕事は担当者の代わりに授業を進めると言う物である。いわば先生の代わりだ。

 その為、”学術が先生並にできる”=”勉強ばかりやっていた”=”勉強ばかりなら体力は低い”と言う図式が出来上がった。

 ”体力が低い”という先入観は”ダンジョン探索では足を引っ張る可能性がある”と見られ、わざわざパーティに入れると考える人はいなかったのだ。僕の体格が良くないとうこともそれを裏付けることになっていた。


 そんなこんなで僕は一人でダンジョンに来ているわけだ。

 しかし、物は考えようである。今日ダンジョンで行う幾つかの実験は他の人に知られるのは良くない。と言うのも僕の持つ”収納”のスキルを併用した実験だからだ。

 僕は実験を行う予定の場所である行き止まりの通路へ人に見られないように急いだ。


 - 実験その一 -

 左右の手それぞれで収納スキルによる銀の盾を発動させる。



 僕は専門に学習したおかげか、異世界人の特典のおかげか、両手で左右別の”空”魔法を使うことが出来るようになった。

 まずは左右の手で一つずつ収納のスキルによる銀の盾を出すことが出来るかの確認だ。


 ……問題なくスキルを発動できる。僕の左右の手にそれぞれ銀の盾が出現した。

 それを離れた位置、150mぐらい(スキルの射程が伸びた)の場所で銀の盾同士を重ねてみる。

 銀の盾同士は重ねられたことで一つの大きな銀の盾となった。


 では違う物、全てを弾く(収納しようとする)銀の盾ではなく特定の物(例えば岩とか)を弾く盾と銀の盾を重ねるとどうなるのか?

 これは同じように大きくなり特定の部分は岩だけを弾くようになると予想した。しかし驚いたことに予想とは違った物になった。


 重ね合わせた部分が欠けた状態になったのである。


(これはどういうことだ?何かに使えるかもしれないが……今のところは保留だな。)


 ここまでが実験その一だ。



 - 実験その二 -

 左右の手それぞれで違うものを発動させる。例えば右手では収納スキル、左手は”空”魔法の物体転送トランスファーオブジェクトを使用し物品を送るのを留める事で出口を固定し空いたままにする。



 これも問題なく出来る。次は二つの重ね合わせだ。

 ”空”魔法の転送の出口を重ねても何の反応もなかった。(あえて言うなら出口が大きくなった程度)同じ様に収納の銀の盾同士を重ねても特別変わった事は何も起きない。

 では、その二つを重ねた場合は?

 以前、収納袋(呪いの品)と銀の盾を重ねた場合、とんでもないことが起きた。それを僕のスキルと魔法で再現できないかという実験だ。


 例のとんでもない事が起きた場合は被害が自分に及ぶ可能性がある。従って、銀の盾はできるだけ小さく、転送の出口も極力小さくする。


(よし!このぐらいの大きさでいいだろう。)


 今僕が立つ場所から離れているのでかなり見にくいが銀の盾が光るのが見える。丁度ダンジョンの行き止まりの壁の近く、周囲には誰もいない。

 その盾が光る場所に転送の出口をゆっくりと近づけた。


 転送の出口が銀の盾に触れるとその場所に漆黒の球体が出現する。あの時の再現だ。

 漆黒の球体が出現している時間はあの時ほど長くはなかったが、球体が消えた後には抉れたダンジョンの壁と地面が残っているだけだった。


「……あの時と同じだ。小さいとは言えこれはかなりの威力だぞ。難点は発動するまで時間がかかるというところか……。しかしすごい威力だな、壁に穴が開くなんて…‥・ん?穴?」


 壁を抉り取った跡を見た時その奥にある穴に気がついた。

 このダンジョンは王都近郊のダンジョンと言うことでほぼ全ての階が探索されつくされていた。

 僕が選んだ場所はギルドでもらった地図上では行き止まりになっていて、その先になにも無いとされている場所だ。

 半球状に抉った大きさは直径が1mよりも少し大きいぐらい。

 つまりダンジョンの壁の厚さは50cm。このぐらいの厚さでも腕利きの斥候スカウト魔法使いメイジなら壁の先に部屋があることはわかるはずである。

 それが知られていないという事は誰も調べなかったのか、探索を妨害する何らかの仕掛けがあるかだ。


 前者なら問題は少ない。だが後者なら大問題だ。

 腕利きの冒険者の目をごまかす仕掛けがあるということはこの先のダンジョンの危険度はかなり高いという事だ。

 そしてここは王都近郊のダンジョンであり初心者向けとされている。


 ダンジョンでちょっと実験をしていたらトンデモナイ物を見つけてしまった……どうしよう?


 やはり、続きの実験、”- 実験その三 -、広範囲に銀の盾を展開し物を弾いた場合、その物はどこに行くか?”


これは別の日に改める必要があるな。

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