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このうらみはらさでおくべき……か?

 まき散らされたキマイラの血や内容物を顔からかぶってしまいとても生臭い状態になってしまった。

 頭の上にはピンク色の木綿豆腐のような物がベトリと乗っている。


「これってNo?オーノーダすー!!」


 くだらないダジャレを言いながら、背中に背負った鞄からタオルを取り出す。ほぼ正面から血やブツがかかったため鞄は無事だったのが幸いだった。

 キマイラの血は上着にもしみ込んできている。脱がないとシャツや下着にもしみ込んで大変なことになる。

 急いで上着を脱ぐと頭に着いたブツを手で振り落とし、顔や頭に付いた血をタオルで出来るだけ拭う。

 一通り拭ったもののキマイラの生臭い血の匂いはとれそうにない。

 先ほど脱いだ上着の匂いを嗅いでみる。


くんくん


「上着も生臭くなっているな。」


 キマイラの血の匂いはかなり生臭く洗濯しても当分臭いはとれそうにない。辺りは獣臭い上に血の匂いが充満して実に最悪な気分だ。

 生き残るために凶悪な魔物と戦い、血まみれになり悪臭の中に立っている。何故一介の高校生がこんな目に合わなければならないのか?


 考えただけで腹の底から怒りがふつふつと湧き上がってくる。


 これも全てヨブ……いやあの豚王の身勝手な考えのせいだ。


 あの豚王がやったこと……。


 “異世界召喚”豚王曰く”勇者召喚”だ。


 “異世界召喚“はまあ良い。人によっては違うかもしれないが、僕には”異世界召喚“はあこがれの展開でもあるし、そのおかげなのかチートスキルを得ることが出来た。とりあえずこの件に関してはひとまず置いて置く。


 だがその後が気に入らない。


 今思い出せば、王女と言うだけで何故キャホーとしたのかが判らない。それに豚王と王女は全く似ていない。その上、王女は豚王の横にいた王妃とも似ていない。


 これは可笑しなことだ。


 豚王や王妃とも似ていないという事は関係のない赤の他人の可能性が高い。血のつながらない美しい女性なら豚王の愛人という事ではないだろうか?

 そう考えると、豚王の愛人にキャホーした自分たちが馬鹿みたいである。

この異世界は魔法や魔道具が存在する。ひょっとしたら、僕たちの思考は魔法か魔道具によって誘導されたかもしれない。

スキルの可能性だってある。こうやって冷静に考えることが出来るという事は魔法やスキルで誘導されていた可能性が高い。


 あの豚王が俺達の様子を見てニタニタ笑っていたのは、何らかの方法で踊らされている俺たちが滑稽な道化に見えたのだろう。


 そう考えると怒りがふつふつと更にわいてくる。


 むむむむむ、……許さん!


 顔の一部がはみ出す様な小さな般若の面を被り豚王のいる王城へ乗り込もうか?

 城に乗り込むと襲い掛かってくる兵士を”ひとーつ””ふたーつ”と数え歌を歌いながらバッタバッタと切り倒してゆく。


 しかし待てよ?

雪さんも“状況をよく考える”と言っていたじゃないか。


 王城に殴り込んでも兵士ではなく同じように召喚された同級生と戦わされる可能性が高いのではないだろうか。

 実際、あの豚王ならやりかねない。

 それに王城に殴り込むと言うことは兵士たちと戦うこと。つまり命のやり取りをすると言う事になるのだ。

 流石にキマイラの様な魔物を倒すことに抵抗はない(後処理に閉口するが)が人間相手は御免こうむりたい。

 僕はたとえ異世界であっても大量殺人者になる気は無い。平気で人間を殺せる人の気が知れない。


 そう考えるとこっそり豚王だけを倒すのが最善か?


 いやいや、豚王と言っても一応人だ。(豚の様であるが)

 豚王とは言え……いや、豚王だからこそあんな奴を倒して人殺しの汚名を着るのは精神衛生上よくない。

 第一こっそり倒すためには、城の兵士たちに気づかれずに潜入しなくてはならない。潜入するスキルはいるし、持っている装備に便利な段ボールがあるわけでもない。


 ……しばし考察……


 そう考えると実にめんどくさい。

 ここは想像してみよう。

 豚王を倒すために潜入のスキルを鍛え、豚王を倒すために兵士に見つからない様こっそり潜入する。豚王を倒すためだけに四六時中豚王を倒すこと、つまり豚王について考える。


 来る日も豚王、豚王、豚王、豚王、豚王、豚王、豚王だ。寝ても覚めても豚王、豚王。


 これは精神衛生上よくないだろう。想像しただけで鬱になりそうだ。

 それによく考えたら、あんな豚王の事を考えること自体が時間の無駄ではないか?


 ……さらに考察……


 よし!


 面倒だ。あんな豚王の事は気にしない事にしよう。その方が精神衛生的にも良い。

 なら、このダンジョンを出たら何をしようか?先ずは雪さんや姿くん、時雨さんと連絡を取るのも良いかもしれない。


 それにここは異世界。


 僕らのいた日本、いや地球とは異なる場所だ。珍しいものや見たことの無い物が数多くあるに違いない。

 そう考えると”オラ何かワクワクしてきた!”と言う感じだ。


 うん。そうしよう。


 先ずは異世界観光だ!


 チートスキルを持つ僕達なら何とかこの世界でもやっていけるだろう。

 そのためにはまずは先立つ物がいる。


 ここは異世界らしくキマイラの爪とか牙を取って持って行くべきか?

ここまでお読みいただきありがとうございます。

感想や評価を頂けると嬉しいあまり執筆速度が上がる可能性はあります。はい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 収納できない収納スキルの今後に期待 [一言] 「これってNo?オーノーダすー!!」 これが理解できなくてもやもやする
[一言] 収納スキルが弱い設定は珍しいですね! まだまだ始まったばかりですが、今後の展開を期待します!!
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