スキルレベル
様々な武術の修行を初めて三ヶ月がたった。
僕とロムスさんや修行をしてもらった各道場主たちが冒険者ギルドに集まっていた。
今日は僕の修行の成果を確認する日なのだ。
「よし!ソウジ、調整は終わったな?だったら鑑定機の上に手を載せてみろ。」
僕はギルド長に言われたとおり増えたスキルを公開できる様に鑑定機を設定した。
その鑑定機の上に僕が手を乗せると鑑定機は少し光りその表面に僕のスキルを浮かび上がらせる。
盾術 レベル4、槍術 レベル3、投擲術 レベル3、体術 レベル3、剣術 レベル2、棒術 レベル2、斧術 レベル2、双剣術 レベル1、弓術 レベル1、長刀術 レベル1、鞭術 レベル1
浮かび上がったスキルを見たロムスさんやギルド長、各流派の道場主は苦笑いをした。
「これは……。」
「何と言うか……。」
「修行は三月とは言え……。」
「……。」
彼らは一呼吸おいた後、異口同音に発した。
「「「「「「「「「「低いな、このレベルは。」」」」」」」」」」
僕としては何もなかったところからここまで上がったのだから低くはないと思う。
それに槍術はレベル3だ。最大レベルが5なのだから十分強いと思うのだが?
「比較的修行の時間が長い槍術でさえレベル3か……最低でも全てレベル3に達していると思ったのだが……。それに職業スキルもない。それが一番問題か……。」
ギルド長が聞き覚えのないことを言った。職業スキル?職業スキルとは何だろう?
「職業スキルというのは一定のスキルを取ると習得できるスキルの事で”槍騎兵”や”剣士”、”魔術師”とかいう名前のスキルになっているのでそう呼ばれている。」
「え?!」
僕は思わず声を上げてしまった。職業スキルなんて僕は聞いていない。
召喚されたときにも聞かされなかったしジェームズさん達からも、まして冒険者ギルドの講習でも説明はなかった。
「冒険者ギルドで職業スキルについて説明しなかったのは見習いを卒業すると”冒険者”という職業スキルを得ることができるからだ。」
ギルド長によると冒険者講習や見習いの昇給試験は”冒険者”の職業スキルを得ることのできる条件を満たすためにあるのだそうだ。
逆に言うと、”冒険者”の職業スキルを持っていない者が見習いでありFランクの者を指す。
「”冒険者”のスキルか……このスキルなにか特徴があるのですか?」
「”視認”、”短剣術”、”サバイバル”など冒険に関するスキルが上がりやすくなるしスキルを使った事に成功しやすくなる。他には習得できるスキルが増えると言われているな。それと……ソウジはスキルの一般的な限界が5であるのを知っているだろう?」
「ええ。レベル5が最大だと聞きました。」
これは召喚された時にヨブ王国の宰相とやらに説明されたことだ。
「職業スキルの上限は5ではない。それと”冒険者”の職業スキルがあれば冒険に関するスキルの上限が冒険者スキルと同じレベルになる。」
「なんだって!じゃあ……”短剣術”が6とか7に……。」
「ああ、冒険者スキルの上限は10だから10まで上げることが可能だ。」
僕は少ギルド長の言葉に疑問を覚えた。ギルド長は”冒険者スキルの上限は”と言ったのだ。
では剣士や槍騎兵の上限は一体いくつなのだろうか?
「剣士の上限は10、槍騎兵の上限は15。剣士や槍騎兵のスキルを伸ばすことで更に上限が上がる”剣王”や”槍王”、”剣聖”や”槍聖”と言ったスキルが有る。職業スキルには戦闘系ではないスキルもあるぞ。鍛冶師や細工師もその一つだな。」
「じゃあ、剣士のスキルを取って剣王、剣聖のスキルを取れば上限は……。」
「その場合は剣聖のスキル上限が剣術の上限になる。今の所、剣聖のスキルの上限は確認されていない。」
ギルド長の説明で何故ガンテツさんの作品に比べて僕のものが劣っているのか理解できた。おそらくガンテツさんは鍛冶師で制作スキルのレベルが僕よりも高いのだろう。
スキルレベルの上限が5ではないということは召喚された僕ら以上のレベルの人がヨブ王国にもいるはずだ。
何故ヨブ王国の宰相は僕たちに正確な情報を教えなかったのか?
彼らにとって僕たちにスキルを秘密にしたほうが都合の良いのは何故だろうか?
ソウジ 「ところでギルド長の職業スキルは?」
ギルド長「”ぶとうか”だな。」
ソウジ 「武闘家ですか、格闘系の職業スキルですね。」
ギルド長「いや違うぞ。おれの職業スキルは舞闘家だ。」
ソウジ 「……。」