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収納スキルがなにも収納できないゴミスキルなので迷宮に追放された。僕にはあいつらをぶっ殺す権利はあると思う。だが行使しない!  作者: 士口 十介
武術都市

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従魔と名前

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 第一声が餌の要求とは……この魔物、獅子のような姿をしているが残念すぎる。

 それに“おいどん”、これは自分のことをそう言っているのだろうか?ひょっとして名前か?


「すごいな!ソウジと従魔契約をしただけで会話が可能になるとは!」


「え?これとの話が聞こえているんですか、ギルド長?」


「ああ、ちゃんと聞こえている。しかし、これほど早く会話が可能になるとは……流石は”森の賢獣”とも言われる”バロン”だけはある。」


「でもギルド長、なぜ会話が可能になったのですか?」


「魔獣は従魔契約することで魂の部分に繋がりができる。一節にはその繋がりから言葉を覚えると言われている。」


 ギルド長の説明は判る様な、判らない様な物だった。でも何か引っかかる。


「次にソウジがやるべきことは従魔となったこの魔獣に名前をつけることだ。」


「名前?」


「従魔に名前をつけることで魂の繋がりがより強力になる。繋がりが強力になれば従魔を通して景色を見たり音を聞いたりすることができるようになる。」


 名前をつけると魔法使いの使い魔と同じ事が出来るらしい。従魔を通りして見聞き出来る能力は偵察などいろいろな場面に使え非常に便利な能力だ。

 やはり名前をつけるべきなのだろう。それなら何という名前にしようか?


「おいどんの名前はかっこよかほうがよかね。」


 “かっこよか“……かっこいい名前か。獅子、つまりライオンだったらリオンとかレオとかいう名前が多かったな……。


「おいどんは獅子ん様な愚か者とはちごっど。」


 どうやら獅子ライオンの名前はお気に召さないらしい。

 まぁ、獅子ライオンは雌が狩りをして雄は食っちゃ寝するだけで何もしない。いわゆるヒモの様なモノだ。

 ……まてよ?


「そう言えばこの従魔は何故こんな話し方をしているんですか?僕から言葉を覚えたのなら僕と似たような話し方をするのでは?」


「ふむ?そうなのか?でもソウジの従魔が話している言葉は西方エルフ語だぞ?」


「西方エルフ語?」


 言葉が自動翻訳されているのでわからなかったが、従魔は“西方エルフ語“で話しているらしい。

 薩摩言葉に聞こえるのは自動翻訳がエルフ語をそれらしい言葉に変換した為のようだ。


(西方エルフ語か……西方というのは西側っていう意味だよな。英語ならウエスト、ウエスタン、ウエスたん?ウエスたんならウエスどんと言ったところか?)


 僕が従魔の方へ顔を向けると従魔は眉間にシワを寄せて渋い顔をしている。ウエスどんでは駄目らしい。じゃあ、別の方面から考えてみるか。確かギルド長は“森の賢獣”とか言っていたな。

 賢獣……賢い……賢者……賢者と言うとセージとかワイズマンだったか。セージかワイズどちらが良いかな?


「おいどんは後んほうが良かど。」


 後の方、と言うことは“ワイズ”か。


「よし、今日からお前の名前は“ワイズ”だ。」


 僕が宣言すると従魔、“ワイズ”は少し輝いたように見えた。


「今日からおいどんは“森の賢獣”の“ワイズ”。今後ともよろしく。」


 某RPGの魔物のような挨拶をして“ワイズ”は頭を下げた。魂の繋がりが強くなったためか言葉が判りやすくなっている。


「おいどんの力なら主の記憶を読めば言葉を覚えることも造作もない。」


 なるほど、ワイズは主の記憶から言語を覚えるのか……ん?今さらっと変なことを言っていなかったか?

 確か主の記憶とか……。


「そうだぞ。名前をつけたことでより強く繋がったので主の記憶を読むのが可能だ。」


 ……


 うっきゃー。では、あんなことや、こんなことなんかが!!


「うん、知っているぞ。主の部屋の寝床の下にはあんな本やこんな本。主の好みは大きすぎず小さすぎずとか……ああ、そう言えば同じ仲間のユ……ふがふが。」


 僕は慌ててバロンと言われる魔獣の口を抑えた。


「ソウジ。そんなに慌てなくても従魔となったから命令すれば話さなくなるぞ。」


 ギルド長の言葉を聞いて僕は早速、魔獣が会話することを禁止する。効果は即効性があり魔獣は話さなくなった。

 ……危ないあぶない。もう少しで自分の秘密を暴露されるところだった。(もうすでに手遅れかも知れないが……。)

 魔獣は少し恨めしそうに見ているが背に腹は代えられないだろう。


「……ソウジ、全てを禁止にしなくても自分の記憶は話すなと命令すればいいのだが……。」


 そうなのか。臨機応変に対応できるのは以外に思えるが、魔法が使える世界所以だろうか?

 ギルド長に言われたように“自分の記憶は話すな“と命令する。


「ひゃー。ひどい目にあった。いきなり“話すな”とは……。」


「口は災いの元だ。」


 命令を記憶としたことで普通に話すことが出来るようになったようだ。


「あとの問題はワイズの寝床か。この大きさだと部屋一つ分はいるな。」


「ん?主、それなら問題ない。」


 そう言ってワイズが光り輝くと小型犬ぐらいの小さな獅子の姿に変わった。これなら部屋の隅にでも寝床を作れば良いだろう。

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