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別話:東の国の冒険者たち

 ヨブ王国の東の関所の先にはエアリー王国が広がっている。

 エアリー王国はフリューゲル王国と同盟関係にあるが、冒険者ギルド同士の交流はない。

(両国の間には多くの障害があり行き来することが難しい。)


 そのエアリー王国の冒険者ギルドに姿達三人はいた。

 魔道王国との別名がある通りエアリー王国は魔の国、魔術に力を入れている国である。

 だからといって、魔術を使えるものだけが優遇されている国ではない。何らかの素質のある者には奨学金を出し学ばせるほどであった。


 ”風祭雪絵”と”時雨有”の二人はエアリー王国のフラジョットにあるフラジョット魔道学園の奨学生になっていた。

 フラジョット魔道学園はその名の通り魔術に関する知識を専門に教える学校である。魔術師になるためにはこの学園を卒業することが一番の近道なのだ。

 一学年の人数は約100人で五年制、学生数は全部で500人ほどその全てが学生寮に入っている。

 学生寮は男子寮と女子寮に分かれており学校を挟んで正反対の場所に建っていた。

 寮の外観は煉瓦積みの赤い建物で某魔法学校の寮のような物を想像していたら東京駅のような建物だった。寮の前で「何か違う」と言ったのは雪絵だった。

 二人は同じ時期に編入と言う形で入学したので寮も同室だ。

 寮の部屋は十畳より少し大きいぐらいで二人部屋としては少し広い。ベッドが三つあることから本来は三人部屋らしい。

 その部屋で二人はそれぞれのベッドの上でくつろぎながら世間話をしていた。


「やはり学生は学生らしくというのが一番楽かもね。」


「学校とおんなじように課題はあるけど、そないややこしいものちゃうさかいね。」


 魔道学園は日本で言うと高校ぐらいの学校なのだが一般教養とされる数学、科学の内容は中学生レベルであった。その為、それほど困難な問題には当たっていなかった。


「そういえば、姿くんはどないしてはるん?」


 ベッドに寝ころびながら雪絵は有に尋ねた。姿とよく連絡を取っているのは彼女なのだ。


「冒険者ギルドに登録して冒険者になっているようだよ。一人で大抵の相手に対処できるので期待のホープらしいよ。」


「やっぱしね。あのスキルやさかいそうなる思うていたわ。これでしばらくは安心やね。」


「……一二郎ちゃん大丈夫かなぁ。」


「いけるやろう。元々サッカーで鍛えられてる上にあのスキル、相手可哀そうなぐらいやで。」


「でも、一二郎ちゃんは優しいから……それにこの頃怪我が多くなった気がするし。」


「そのために有、あんたが癒しの魔法を覚えるんやろう?癒しの魔法は何処まで出来る様になったん?」


「んー、初級回復キュアライトウーンズは使える様になったよ。次は初級状態異常回復コンディションライトリカバリー祝福ブレスかなぁ。」


「おお、流石はマネージャー……と言うより姿くんの為かいな?」


「そんなんじゃないよ。」


「そんなんてどんなん?」


「雪ちゃんはいじわるだ。」


 有は少し照れたような顔でベッドの枕に顔をうずめた。そして横目でちらりと雪の方を見る。


「それより、雪の方はどうなの?」


「うちの方は後半年はかかるやろうな。覚えるのが索敵サーチ透明化インビジブル伝達ボイス危険感知アラート……覚えるべき補助魔法多すぎやわ。」


「攻撃の魔法は取らないの?」


「それ取るともっと時間掛かるし取っても中途半端やさかい……。それに攻撃系統は男子好きそうやしね。」


「男子……そうね田辺くんあたりが好きそうに見えるものね。」


「ちょ!総司は関係ないよ。」


「またまたー。」


 枕の向こうから有が生暖かい目でニヤニヤしながら雪を見ている。一生懸命、雪が否定しているが有の誤解(?)は解けそうに見えないと雪は思った。

 雪は誤解が解けそうにないので溜息をつくと、有はむっくりと体を起こし真剣な顔をした。


「……それで、例の話はどれぐらいの影響がでているの?」


「今のとこ影響はあらへんわ。うちのスキルは相手を見な使うこと出来ひんさかい微妙な所やけど……」


「そうなの……。」


 有が窓から外を見ると今日も空が青く晴れ渡っていた。

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