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収納スキルがなにも収納できないゴミスキルなので迷宮に追放された。僕にはあいつらをぶっ殺す権利はあると思う。だが行使しない!  作者: 士口 十介
フリューゲルの城塞都市

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多頭竜

 ロジェスさん(ちゃん)は光弾の魔法を放っていた。光弾の魔法は僕の銀の円盤で反射され少し離れた地面に当たり明るい光を発し僕の影を薄く消し去る。


(よし!これで動ける!)


 影縫いシャドウステッチによって影を縫い付けられ動けなくなっていたが、縫い付けられた影が消えれば動けるのは道理だ。ロジェスさん(ちゃん)はわずかな間に光弾の魔法で影を消すことを考えたのだ。どうやらロジェスさん(ちゃん)は僕よりも若いが優秀な魔法使いらしい。


(たしかランディさんに教えてもらったけど光弾はたしか魔法使いが覚える最初のダメージ魔法だったよな。)


 光弾がぶつかった地面を見るとこぶし大の大きさに抉れている。この光弾が直接ぶつかっていたらと考えるとぞっとしない事になっただろう。


(体は無事動くようになったが、ヒドラは何故襲って来ない?)


 体が動く様になって銀の盾をヒドラの方へ向けているのだが襲い掛かってくる様子は無い。口を開いたままじっとしている様にも見える。


(たしか、ヒドラと言うのは多頭の魔物だったはずだ。今見えている頭は二つ、青い頭と少し濃い青の頭だ。多頭と言うから二つだけという事は無いだろう。このヒドラはいったい幾つの頭がある?それに他の頭は何処にある?)


 銀の盾を構えいつ攻撃されても対処できるように注意深くヒドラの頭を観察する。ヒドラは口を大きく開けたままこちらをじっくり観察している様にも見える。


(何だ?こちらを見ている……なにも攻撃してこないだけ不気味だ)


 そのとき不意に大きく開いたヒドラの口が閉じた。


「オ前から忌まわしキ臭いがスる……お前は何者ダ?」


「!」


 このヒドラは人の言葉を話すことが出来るのか!魔物は年を経て知能が高くなると言葉を話す様になると言っていた。ではこのヒドラはいったい何歳ぐらいなのだろうか?

 僕がそのヒドラの頭二つと対峙していると周囲の沼から次々と頭が飛び出した。頭の色は青だけではない、赤、橙、黄、緑、紫、青と濃い青(藍か?)と併せると全部で七色の頭だった。


「我ラ」「の」「力」「は」「最狂」「ニして」「「「「「「「最強!」」」」」」」


「忌まわしキものよ!ここで我ラの糧とナるがヨい!」


 七つの頭の内、黄色い頭が巨大な雷の弾を吐く。元々銀の盾を構えていた僕は収納対象を雷の弾に変更した。収納対象はヒドラの攻撃にした方が良かったかもしれない。しかし雷の弾の様な間接攻撃の場合、ヒドラの攻撃としてスキルが反応するか判らなかったのだ。さすがにぶっつけ本番の状態でそれを確かめるつもりはない。


 カンッ!


 銀の盾に弾かれ雷の弾はヒドラに向かって弾かれる。弾かれた雷の弾はそのままの大きさでヒドラに襲い掛かった。


 ドゴゥッ!


 雷の弾の着弾と同時に電撃が広がる。広がった電撃はヒドラを包み込んだ上、電撃により膨張した空気が僕を吹き飛ばしヒドラとの間合いを広げた。

 どのヒドラの頭も電撃に包み込まれ雷によりダメージを受けている。しかし僕には頭の色によってダメージが異なっている様に見えた。その中でも雷の弾を吐いた頭はダメージを全く受けておらず、逆に電撃から最も離れていた青や藍の頭に受けた雷ダメージが一番大きいように見える。どちらの頭も鱗の一部がはげその下の皮膚が顔を覗かせている。


「?」


 確かヒドラが非常に厄介な魔物である理由に”強力な再生力”と言うのがあったはずだ。雷ダメージを受けた青や藍の頭に”強力な再生”が起こる兆し間みられない。


「この魔物はヒドラではない?」


 ヒドラと思っていた魔物の頭をよく見ると所々に角の様なものが生えている頭もある。蛇の様な頭である青や藍の頭にも角の跡、根元からぽっきり折れたような跡がある。青や藍の頭は手の様に薙ぎ払ったりするため、角が折れたのかもしれない。


「これはヒドラと言うより”多頭竜”と言ったところか……。チャーリーかと思ったんだが……。」


 ヒドラよりも竜は遥かに賢いとされ魔法を使いものもいるとされている。だがしかし、ヒドラの”強力な再生力”の様な厄介な能力を持つ竜はまれだ。


(ヒドラなら倒すことができるかどうか判らなかったが竜なら倒せそうだ。油断は禁物だけどね。)


 僕は慎重に銀の盾を構えた。

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