災害
いつの間にかリーンが無口な子になってる……。
村人でいると決めた俺はその後まだ冒険者の勧誘をしてくる受付嬢をのらりくらりとかわした。
「というか!俺はリーンのステータスを見に来ただけです!」
と俺はそう叫んで、ギルドを後にする。そもそも俺のステータスを見て欲しいとは言っていない。なのになんでこんな風に絡まれなきゃ行けないんだ。
「とりあえず、俺はこれで、リーンのステータスを知れただけで満足ですので」
と俺は言ってその場を離れようとするが……
『緊急!緊急!ギルド内の皆さんは急いで集まってください!』
「なんだ!?」
「あ、すみませんトールさん、緊急クエストです!と、とりあえずアナタも来てください!」
とりあえずリーンをお姫様抱っこして受付嬢に着いていく。ギルドメンバーの人が広場に集まっている場所に着くと、ギルド長らしい服装をした人が叫んだ。
「総員!聴け!今この町に災害が来ようとしている!」
すると冒険者たちがざわめく。
俺はあまり詳しくはないのだが、俺が三年間ここで暮らしている時には少なくとも起きてない。
ので、近くの冒険者に話を聞くことにした。
「すみません、災害ってなんですか?」
「ん、おぉ?知らんのか……まぁ最近起きてなかったからな……兄ちゃんはこの町に来てからは起きてないもんな」
と懇切丁寧に教えてくれたのだが、どうやら五年に一回くらいの頻度で来る大型モンスターの群れが攻めてくるものらしい、が、敵は強いのにこちらの冒険者はあまり強い人が多くないのでとても苦戦するとの事らしい。
「まぁ兄ちゃんは、参加せんでええよ。さすがに、アンタは農家だしな。アンタに死なれると俺らが困るしな」
と冒険者は豪快に笑った。
まぁ参加しなくてもいいなら参加したくないのでそれはありがたいが……、
「ほら、町の中にモンスター入るとアンタらを守りながら戦うのは無理や、だからはよ家に避難しとき」
なかなかに優しい人だ。この人の優しさを有難く受け取ろう。
「リーン、危険らしいから行くぞ」
「あ、はい……」
いきなりこんなことになったんだから固まるのも無理はないが、まあいつもと違うリーンを見るのは少し調子が狂った。
「リーン、俺がいるから安心しろ」
そう言って俺は彼女を抱き抱える。
抱いて気付いたが彼女は別に震えているという訳では無かったが、少しぐったりとしていた。
疲れている……という訳でもないような気がしたが、いつもの状態にしてやりたいと思ったので俺はすぐにギルドを後にした。
が……しかし現実っていうのは残酷でモンスターがいた。ここら辺はギルドの人たちが対処してくれるハズだが……、さすがに目の前で立ち塞がれてはすぐにリーンを安静にできるハズが無い。
「仕方ない……な」
俺はリーンのためにこのモンスターを倒そうと決めた。
次は戦闘回、リーンを抱えながらトールはどう戦うのか(もはやネタバレ)
では次回!