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VS白い悪魔

「ふぅ……ま、やっぱりこの平凡な生活が一番だな」


最近はやたら王やらギルドやらでめんどくさい日々を過ごしていたためか、毎日の水やりにさえ幸せを感じるようになってしまった俺ではあるが、しかし今日もまた少し違うイベントが起きていた。


「で、コレはなんですかね」


そう、今俺のいる畑になんかある。

別にミミズという訳でもなく、トンボ……という訳でもなく、一言で言うなら卵みたいなそんな何か。


「……とりあえず動いてないところからすると……モンスターではない……いや、確か昔おっちゃんが『白い悪魔に気をつけろ』って言ってたな、コレがその白い悪魔でいいのか?」


確か白い悪魔は自然災害の一つで、それがあるだけで作物の品質が下がったりする農家にとっての悪魔って言ってた気がする……。

てことは……


「……相当マズイな?早急に駆逐しなきゃ」


確か白い悪魔は栄養が豊富にある土から栄養を吸収するって話だったな、で周辺の養分を根こそぎ奪った後にそれらの養分を魔素に変換してこの周辺一帯の土地を魔力の高い土に置き換える……まさに命を奪い、対価としてしっかり願いを叶える(この世界は美味しい食材ほど魔力が潤沢に入っており、魔力が多ければ多いほど栄養素が高くなるのだ)まさに白い悪魔なのだ。しかしコイツはその日その日をギリギリ生きている農家にとっては命(その日売る食材たち)を一回全て無に帰してしまう。しかもタチの悪い事に一回枯れた後に魔力の高い土に置き換えるまでの期間が一週間と無駄に長いので一週間何も植えれない状態になる。


「要約すれば、金持ち農家以外には興味ないって感じのクソ野郎ってところか」

「あら、それはハクランではないですか」

「あ?あぁマリンか、珍しいな農場(こっち)に来るなんて」

「トールさんがあまりに来るのが遅いので、どうしたのかと思いまして」

「いや、な?白い悪魔……マリンはハクランって言ったか?コイツが農家の天敵でな、早急に対処しようと思ってたんだが如何せんどうすればいいか分からなくてな」


と俺は白い悪魔に近付く。すると体内から何かが吸われるような感覚に襲われた。


「それは周囲一帯の魔素を吸い上げてその後その魔素を二倍にして周囲にばら撒く公害みたいなものです。確か上限まで吸った後に放出しますよ」

「ふむ、そうか……」


てことはここに大量の魔力を注げば即破裂、ここら一体にたくさんの魔素をばらまけると。


思い立ったが吉日と言うやつだ、今持ってる魔力全部こいつに吸わせるか。


と、そう思いついてしまった。


すっ、とハクランに手を当てるすると先程より確実に自分の中の魔力が吸われてるのが理解出来た。そしてグイグイと吸い続けるハクランしかしこちらの魔力も一向に減らない。


ちなみに彼は初期魔法で割と硬いトンボを貫通させている。土の加護持ちとは言え、大したMPのない人間が貫通させるのは不可能である。そう、彼は毎日のように魔力値が高い食材(主に自分で作ってるやつ)を食べているおかげで地味に魔力量も馬鹿みたいになっているのだ。

この農家はどこを目指しているんだ。


「……ん?」


そしてそれに気付けずに魔力を全て分け与えたトールは分け与え終わり魔力が吸収されなくなったことにすぐに反応をする。そして自身の上限値まで魔素を吸ったハクランはそのまま光り始めた。


「え?これ大丈夫?爆発とかしない?」

「はい!確か魔素が周辺に飛び散って周辺が活性化するだけでしたはずです!」

「ほんとに?信じるよ?」

「はい!信じてください!」


そしていい感じに発光し終わったあと、ハクランはサラサラと上部から粉になり崩れ落ちていき、そして音もなく崩れ去り……


「……なにか起きる、訳では無いのね」


まるでそこに白い悪魔がいなかったかのように何も無くなった。

地面を見ても、魔力が増えたかなんてわかるわけもなく、ほんとにただそれが夢だったかのように消えた。


そしてその後、


「マリンちゃん?トールさん呼びに来てって言ったよね」


と一人で朝ごはんを作ったままずっと待っていたリーンに軽めのお説教を貰ったりしながらいつものような日を過ごせたのでしたとさ

後にトールは語る

「正直白い悪魔より対処法がわからなかった」

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