三年前、俺は異世界に誤召喚された
異世界ものは初めてです
ソレは突然の出来事だった。
「ん?アレ、確かコンビニに行こうと思ってたんだが……」
いきなり目眩がしたと思ったら見知らぬ部屋にいた。近くを見回すと、荘厳な椅子に座った妙齢の男性、その傍らに佇む美少女、そして隣には俺と同年代の学生と思われる四人組のグループが少し困惑しながら喋っているのが見えた。
(……後気になるのは周囲を囲んでいる鎧の人達……異世界って訳でもあるまいし、なんかのドッキリか?)
俺はそんなことを考えながらその場にいた。いや、なんか動いたら周りの鎧の人達が何かしそうなんだもん。
「よくぞ参られた。勇者とその仲間たちよ」
と男性が隣の四人組が落ち着いたタイミングで話し始めた。
(うわぁ……異世界みたいな感じじゃん…嫌だわぁ)
と俺は少しつまらない気持ちになる。いや、だって俺みたいなMOBってのはすぐ殺されたり、なんか変な能力持ったりで2ヶ月後には死ぬじゃん。
「私は君のような勇者を探していたのだ」
と男性は隣のグループのリーダー格のような男を指さした。
「お、俺ですか?」
指を刺された男は少し困惑しているように見える。まぁ無理もないだろう。だっていきなり知らない場所に飛ばされたらいきなり君のような勇者を探していた。って……ドッキリにしては面白みがない。というか何故俺はここにいるんだ?よく考えたら四人組と一人が召喚ってなんかおかしいやろ。ていうかこの四人組、俺マジで知らない奴らなんやが……。
「とりあえず、おいお前ら例のモノをもってこい」
「了解しました」
と五人ほど鎧の人達は奥に行く。そしてすぐに古ぼけた紙を持って戻ってきた。
「コレはステータスシートと言ってだな、君たちの強さが数値で見れるのだよ。さあ、触れてみてくれ」
と鎧の一人が俺の方にも来る。
「では、この模様のところに触れてみてください」
「あ、ハイ……」
と俺は言われた通りに変な模様がついてるところに指を当てる。すると突然シートが光り始める。そしてすぐに文字のようなものが浮き出てきた。
「名前はトオル、レベルは1、職業は商人……スキルに豪運と、無限収納のみ」
「あ、なんかすみません」
「いえ、お気になさらず……では私は王に伝えてくるので」
うん弱いってことだけわかった。いや、レベル1って馬鹿でも弱いってわかるぞ。しかも鎧の人割と困惑気味だし。あちら側の四人も同じように触れたのだろう。四人の鎧の人も王の方に向かった。
「ふむ……やはり勇者、そして隣のものは賢者とな?なかなか恵まれたパーティー構成じゃな」
と王は割と上機嫌に見える。
「では君たち勇者に聞こう、魔王を倒していただけるか?」
「はい!私たちで良ければ」
お、この勇者くんはなかなか良い奴だな。人のために頑張れるとは、褒められた人間だ。
「うむ、感謝する。お前たち!勇者の誕生じゃ!すぐに祝いの席を設けよ!」
「「「「「は!!!!」」」」」
と鎧の人達はすぐに姿を奥へと消した。
「では勇者たちは部屋を用意してある。ぜひそこで今日は休んでくれ」
と勇者パーティーはメイドのような女性に連れられこの部屋を後にした。
「さて、あとはお主なのだが……」
と目線が俺に向く。うん、ですよねー。
「お主はどうやら誤って召喚に巻き込まれたらしい」
「は、はい…そうみたいですね……俺…いや、私もそう思ってました」
「だが残念なことに魔王を倒さないと現実世界に帰るポータルが開かんのだ」
え?てことは俺はどうなるの?
「そこでなんだが、お主は魔王討伐を手伝って貰おうと思ったのだが……」
「はい、ステータスが低い……ので、多分無理ですね……?」
「うむ、だからお主には魔王を討伐するまで当面は私たちが生活費用を負担しよう」
「あ、ありがたい限りです……」
正直、なんかこの秘密を知ったからにはみたいな感じなのかと……めっちゃ怖かったが、どうやらソレは杞憂だったようだ。
「この異世界、存分に楽しむが良い」
王様は優しい瞳で俺にそう言った。
そしてそれから三年が経ち、俺は未だ城下町の辺境で暮らしていた
余談
「で一つ聞きたいのだが……お主は彼らとは知り合いか?あまり話してなかったように見えたが」
「……いえ、初対面です。あの人たちとは見たことすらありません」
「…………すまない。一人で心寂しいだろうが強く生きてくれ」
「あ、ありがとうございます……」
感想やらレビューやらお待ちしてます。
また次回に。