9.メインヒロイン
スプリントが換金から戻ってくるまでオレは何をするでもなくプラプラと繁華街を歩いていた。
繁華街は朝から結構賑わっており、朝市ってヤツなのか通りの両端では露店が立ち並び様々な物を売っていた。
オレはスプリントから貰った小遣いを片手に適当に露店の商品を覗いたりして時間を潰すことにした。
「うーん、自分のモノ買うっていうより、姉御のためになんかちょっとしたアクセでも買ってプレゼントしたら喜ぶかな?デートのあとサプライズで渡したら好感度爆上げで今日は最後までイケるかもしれん!」
…まあ、R-15制限でイケないんすけどね!てへっ⭐︎
と、自分で悲しいツッコミを入れながら露店で姉御に似合いそうなアイテムを物色し始めた。
同棲生活も1週間。ひとつ屋根の下で暮らしてきたが、どうにもオレのことを弟分としか見ておらず。コレといったエロい状況、もとい、男女の良い雰囲気にはなっていなかった。
もともと男所帯の盗賊団で世紀末にしかいなさそうなヒャッハー系の荒くれもの達と過ごしていたという訳の分からないバグ設定のせいで男との距離感がダチ感覚というかいっこうに恋愛には発展しそうにない。
なんか漢気感、兄貴感を出そう出そうと背伸びしてる姉御も可愛いので良いのだが。コッチも思春期真っ盛りの漢じゃけぇのぅ。また暴発しそうでたまらんのじゃぁ!!(てかR-15禁のせいでコッチのは暴発せんけど。現実のオレは大丈夫だろうか?コッチの影響で暴発してたら死ぬるんだが!?親とかに見られたら死ぬろるんだが!?)
とか考えていたら姉御に似合いそうなピアスを発見した。
「おっ!いいじゃん」
手を伸ばした瞬間…
「あっ
「アッ
同じピアスを取ろうとした女性と手が触れてしまった。
お互いの目があったその瞬間…
「!?」
オレの脳内に『アニメ映画の音楽を人気バンドに全部頼んでバズる系』のテーマソングみたいなのが爆音で流れ出した!
あ、すいません。と謝る女性を見てオレは状況をすべて把握した。
『穴沢2』メインヒロイン
姫騎士:エアル・アバンティアがそこにはいた。