5.お詫び
危なくエロくなるとこだった。
お詫び
Another world 2発売延期のお知らせ
そのニュースは世界に発信された。
開発中のデバック作業で開発作業者の意識が
現実に戻らないという大事故が発生。
新聞、週刊誌やTV、ネット、SNS、動画サイトでは
Another world2 製作サイドへの非難が集中した。
現在、事故の原因調査と問題解決、意識を失った作業員の回復を最優先とし、対応している。
田宮 頼人(17)
『穴沢2』デバック作業中意識戻らず
外部強制ログアウトもエラーにより起動せず。
現在、電脳疾患専門機関にて治療中
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
運命の出会い翌日の朝
オレは森の中の林道で馬車を止めていた。
王都に向かう馬車だ。
「…あの、全員武器を捨てて、地面にえっとなんでしたかね?最後?、ひーはー!!でしたっけ?姉御?」
とかやっていると
後ろの茂みからやれやれと天使指導員様降臨
「違う違う。「へいへいへーい!ちょ、オラぁ!全員武器捨てて地面はいつくばれ。ひゃっはー!!」っつってんだろ。おめ覚える気ないだろ?盗賊道舐めてんだろ?それで盗賊王になれると思ってんの?おおん?」
「さぁーせん、自分、初めてなもんでぇ。」
…うんうん、元気になって良かった姉御。
あれからなんだかんだあり
この盗賊団に就職させて貰えるようになりました。
でもまあ、姉御以外のメンバーはなんか昨日黒コゲになってたのを憲兵にしょっ引かれたらしいっすわ。
なんか知らんけど。
…あー、昨日のアレっすか?
あのあとのこと聞いちゃうんすか?
まあ、皆さんの期待している内容にはならないんで
もうザッと説明しますわ。
ガサッガサガササ
「プギぃぃいいプギップギィィィイイいいい!!!」
オレはゼェゼェ言ってる運命ちゃんを肩に担ぎ上げ
豚の奇声を上げながら当てもなく森の奥へ向かった。
ガサゴソガサゴソ
ドサっ
木々を掻き分け
おれは運命ちゃんをなるべく柔らかそうな草の生い茂る場所に放り投げるとガチャガチャと自分の装備を外し始めたところで「あっ」ってなった。
出来んわ。と。
皆さん、僕の実年齢多分知ってますよね?現実の。
…そーなんすわ。17歳っすわ。
まあ来月には18になるんすけど。で、
R-15とかR-18とかプレイ制限あるじゃないですか?
例えばこの「穴沢」ってVRゲームにもキッチリあるんですわ。そういう制限が。大人の制限が。
…なんかR-15だと勃たないんすわ。アレが。
……R-18ならイケたのにぃぃいいい。
マジメにR-15で申請登録してるんじゃぁないよぉぉおお。マジメかよ!謝れー。なんかみんなに謝れー。
と落ち込んで我にかえると
ここまでくる途中で頭をぶつけたのか最初のタックル気味に肩へ担いだのがあかんかったのかはもう夢中で森を駆け抜けたのでまるで何にも覚えてないが気絶して目をぐるぐるさせている運命ちゃんが足元に転がっていた。
「…最低だ。」
オレは一刻の欲望の狂い咲きによって
いともたやすく行われそうになったエゲツない最低のクズ行為を思いゾッとした。
一気に目が覚めたおれは
自分の蛮行に後悔し、未遂とはいえ彼女への償いの気持ちでいっぱいになった。
オレは運命のヒトになんてことしようとしたんだ。
「…死のう」
「死んで詫びよう。」
聖剣(雷)を抜刀したオレはくるりと自らへ刃を向け
剣先を胸に押し付けた。
おそらくLVMAXでも自分で自分を攻撃すれば
ダメージが通り死ねるだろう。
「さようなら、運命のヒト。」
最後に彼女の姿を目に焼き付け
瞳を閉じ剣先に力を込めた。
「待て。」
か細い声がした。てか声すら最高に可愛いな。
「おい、そこのガキ、これはどういう状況だ?」
「す、すいませんでした。」
「?、なにを謝っている?状況を聞いているんだが?こちらこそすまんな。頭を打ったのか最近のことをなにも覚えていないんだ。酷い悪夢をみた気はするのだが。いくら刺しても死なないバケモノと闘い続けている…」
「…そう‥だったんですか。覚えていない。それは大変ですね。オレ、いえ僕はライトっていいます。森で倒れていたあなたをここまで連れてきました。バケモノ?オーク(豚)かもしれません!僕、叫び声を聞きました!はいこの耳で。間違いないです。なんかプギィィぃぃい!言うてました。」
「オーク(豚)だって!?そーいえばそんな気も。狂ったような奇声を間近で聞いたような。しかし『始まりの森』でオークは出ないんじゃないか?」
「いえ、実際、極稀に出る可能性があり得るとか専門家の見解ではモニョモニョ」
「?、すまん、そういえば自己紹介がまだだったな。オレの名はスプリント、…この『始まりの森』を拠点にする盗賊団のボスだ。…わりいな。つまんねーヤツ助けちまったな。ライト。でも悪いようにはしねーよ。あ、いつも悪いことしてるから信用は出来ねーかもしれないが助けてくれた礼は必ずする。ありがとなライト!」
「ぐぅぅかわ」
「どーした?ライト?」
はわわわわ。いきなり下の名前で呼んでくれてるんですけど。まあ苗字言ってないからそらそうなんだけどさ。そんな上目遣いで覗き込むようにどーした?ライト?とかやられたら死ぬんですけど。いやさっきまで死のうとしてましたけども。生きます。ライト生きまーす!そしてスプリントさんっていうんすね。てことは設定完全にあのデフォ髭オヤジのままじゃんコレ。中身。アイツもスプリントって名前だったよな?スプリントって名前のくせに遅っ!ってバカにした気がするわデバック序盤。ずっとオレのターンっつってスピードでなぶってやったような。すいません。スプリントって名前あん時ディスってすいません。てか記憶失ってるってラッキー!
「いやー、なんでもないです。それでどーしますこれから?」
「アジトに戻ろうと思う。ライト、このまま別れるのもなんだ。一緒に来てくれないか?礼もまだだし」
「一生付いていきます!姉御!」
「?」
こんな感じでアジトへ向かいまあ泊まってけとなって
酒盛りになって。意気投合した我々は
生まれた時は違えど死ぬ時は同じ!という謎テンションで誓いを立てたりして盛り上がっていたんだけど、手下が全滅したことをうっかり口に滑らせてしまい(オレがやりました。とは言えませんでした。)「もう盗賊団終わりやー。もう団じゃねーもん。ひとりだもん。」と泣き上戸モードに入ったスプリントを慰める&気に入れられたいがために「1人じゃないっす!オレがいるっすよ姉御!盗賊王にオレはなる!」とか調子良いこと言っちゃたもんだから「お前盗賊舐めてんらろ?んな甘くないぞー。厳しい世界だぞー。」「そーなんすかー!すごいっすねー!さすがっす!知らなかったー!セッ◯スしたーい!」とヒトを褒める「さしすせそ」トークテクでノせにノせなんとかこの盗賊団への入団許可をいただき、朝から入団テストを兼ねた盗賊の基本営業活動である馬車襲撃を姉御の御指導のもと行なっているのである。