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41.魅せ場を自分で作れるタイプのヒロイン


「どう見る?ライト君。この試合?」


VIP観覧席で横にいる第1王子から訪ねられた。


「…姉御一択。」

頬杖ついて足をプラプラさせながら舞台上に向かう姉御をポーっと目で追いながらオレは即答した。


「…ふむ。私には彼女がそんなに強いようには見えないのだが?ブラストは王国最高戦力のひとり。弱くはないぞ」


ニールセンは固有(ユニーク)スキルで強さを測れるようで舞台上の守護者2人を見て(いぶか)しがる様子をみせた。


まあ、オレも事実『索敵(サーチ)』したがその差は歴然だった。


ライト:『魔法』⇒『索敵(サーチ)

************************

〈索敵結果〉

NPC名(LV):ブラスト・アロウ (LV43)

職業:守護騎士(ガーディアン)

HP:6500 MP:120 SP:360

・耐性:特に無し

・弱点:(火)(雷)(闇)


NPC名(LV):スプリント (LV22)

職業:無職(ノービス)

HP:2200 MP:40 SP:120

・耐性:特に無し

・弱点:全属性に弱い


************************


LV差2倍ステ差3倍。

職業も無職じゃ…

確かにどう足掻いても勝つ術はない。

だが、


「…オレにカッコいいトコ見とけって言ったんだ。

…なので勝つのは姉御だ。」


闘技場の真ん中に威風堂々と輝き立つ姉御を

オレは真っ直ぐ見つめて改めて言い切った。


「フッ…理屈ではないのだな。」








「王位継承戦第一回戦第3試合!守護者シングルマッチ!武器、魔法、スキル無制限、アイテム使用禁止!敗北条件オール!両者!準備は良いか!?」


エアルのヤツ、ジャンケンに全敗してナニもレギュを自分達の有利な展開にできなかった。

せめて王候補と守護者のタッグマッチに出来ればレベル差の打開や『ふんばり』スキル攻防(ハメ)が使えたかもだが。

守護者同士のガチのタイマンになっちまった。

…マジであの阿呆(エアル)使えねーな。

…しかも殺しもアリアリレギュだし。

もし姉御になんかあったらオレが殺してやる。

あの阿呆。



「…アイムレディ!アバンティア王国近衛騎士長

ブラスト・アロウ。推して参る!」


「ああ、あいむれでぃ。スプリントだ。よろしくな。」



「それでは…王位継承戦第3試合、始めぇぇぃ!!!!」


…先手はやはりブラストになるわな。


ブラスト:盾スキル⇒『ブチかまし』


ブラストは試合開始の合図と同時に自らのカラダをすっぽり隠せる程の巨大盾を装備し姉御に向けて構えた。


「スプリントといったか?警告だ。降参しろ。」


そう言い姉御のほうへと突っ込んで行った。


姉御はようやく戦闘コマンド選択権が回ってきたのか未だウインドウ操作を行なっていた。


『ふんばり』があるのでこのターンはHPは耐えるだろうが姉御に次は無い。

この盾スキル『ブチかまし』を喰らうとランダム小〜中スタン効果が付くから今回のようにステ差ギリギリ行動選択権が間に合ってるようなジリ貧の姉御には次の行動選択権は回ってこない。

…おそらくそのスタンで降参も出来なくなる。

すなわち死ぬ。


このターンの選択で…もうこの試合決まる。




ブラストが闘技場の床を砕きながら圧倒的な質量で姉御の眼前まで迫っていた。

もはや激突するというところで姉御が動いた。


スプリント:固有(ユニーク)スキル⇒『変身』

姉御はそっと手のひらで顔を押さえて手を離した。


ブラストと姉御がぶつかり合った瞬間、カッと真っ白な輝きが舞台を包み、その光に包まれた姉御の小さな影が何倍にも膨れ上がり巨大な人影と化した。

そして真正面から突っ込んで来たブラストをその巨大な影の圧倒的な暴力で弾き飛ばした。


盾はひしゃげぶつかり合ったチカラはブラストのカラダを数度床に叩き付けながら闘技場の端まで吹き飛ばしていった。



『「コレはナニごとだーーー!!ブラストの『ブチかまし』が真正面から返されたぁぁ!そして舞台上に立っているのは王女守護者、スプリントぉ!…?ん?あれスプリント?」』


突然の白い発光と

ぶつかり合って起きた衝撃による土埃が晴れ

姉御に姿が明らかになった。



そこにいたのは…

『「バイパー!?第3王子守護者のバイパーです!何故?闘技場に!?スプリント選手はどこへ!?」』


「…オレはおれだぁぁぁぁ!」

そう叫んだバイパーは吹き飛んだブラストの元へ向かって獣のように駆け出した。


「うおぉぉおおぉおおおぉおおお!!!!」

ブラストはひしゃげた盾と鎧の一部を分離(パージ)して闘技場の端からバイパーを迎え撃つように駆け出した。


守備力を捨てて軽さで速度と手数を増やすか?

だが既にレベル差とステ差が逆転している。


姉御の固有(ユニーク)スキル、

髭オヤジ以外にも変身出来る様になっていた。


ライト:『魔法』⇒『索敵(サーチ)

************************

〈索敵結果〉

NPC名(LV):ブラスト・アロウ (LV43)

職業:守護騎士(ガーディアン)

HP:3100/6500 MP:120 SP:260

・耐性:特に無し

・弱点:(火)(雷)(闇)


NPC名(LV):バイパー/スプリント (LV54/LV22)

職業:破戒僧(モンク)/無職(ノービス)

HP:8900/2200 MP:180/40 SP:0

・耐性:(火)(打撃)(斬撃)/特に無し

・弱点:(水)(土)/全属性に弱い


************************


でもなんで?バイパー?


オッさんにしか変身出来ないとか…なんの呪いなん?


…確か3分だったか。この『変身』時間。


まあ、勝負あったな。







『「決まったぁぁあ!バイパー?いやスプリント選手の左クロスがブラスト選手の顔面に炸裂ぅぅ!!」』


『「完全に入りましたね。コレは決まったでしょう。お互い一歩も引かないナイスファイトでした!」』


カンカンカンカン!


「第2王子守護者ブラスト戦闘不能(スタン)により勝者!王女守護者スプリント!」


うおぉぉおおぉおおおぉおおお!!!!

  うおぉぉおおぉおおおぉおおお!!!!


3分間きっちり使い切り最後のクロスカウンター直後に変身が解けた姉御の腕を前王が高らかに掲げた。



…激アツかっこよ過ぎるんですけど。姉御。


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