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4.オレが死ぬまで帰れまテン


ザシュ、ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ...ザシュ


「はぁ、はぁ、死ねっ!死ね!死ねよ!はぁ、

 ゲハっ、ゴホ。なんで死なないの?もう早く死んでよ!」


ザシュ、...ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュ・・・


先程の告白からすでに数十分は経っていると思うが

もう一心不乱に刺してくる刺してくる。


途中、疲れて咳き込んだり、涙目でそれでも諦めず

頑張って頑張ってプルプルしながら

突き刺してくる姿...か、可愛ゆい。

もう鉢巻学ラン姿でキミを応援したい!

頑張れ!できる!できる!キミならできる!!


いやー、つきあってくださいとは言ったんだけど

こう一方的に突き刺されるなんて、た、たまんねー!

これが“突きあう”て言うやつなんですかねー!?(違う)


うーん、こう刺されながら間近で見てると

マジで可愛いなぁ。顔ちっちゃ!まつ毛長っ!

髪サラッサラ、てかその切れ長パッチリ目が好き。

うそ、全部好き。大好き。

なんかええ匂いすっし。スゥぅハァぁくんかくんか。

それに頑張って刺してきてくれるたびに

激しく動くから、も、もう

....おっっp揺れ ハァハァ。

あとショートパンツってお尻のカタチが丸わかりで..

...あ、もうダメだ。


もうお互い限界に近かった。

体力的にと(精)神的にとの違いはあるが…。


何故こんな泥試合が開催されているかといえば

完全にオレのせいですね。はい。ごめんなさい。


デバック作業時権限のレベリング調整


このバグ発見時、舐めプでLV1のままログインして危うく死にかけたオレは次のデバック作業からは安全に安全を期するためLV99MAX!更には全パラメータもMAXそしてついでに全スキル全魔法使用可能な『穴沢』の通常プレイでは絶対育成不能の極振り最強チート性能でログインしていたのだった。


これが原因でこの娘がいくら頑張って

ナイフで刺そうがノーダメージ


つまりダメージゼロ、永遠のゼロ。


「はぁ、はぁ。


「ハァ、ハァ。


まあお互い違う意味のハァハァなのだが。

何故か呼吸があった。


とりあえず呼吸が整うまでお互い至近距離で対峙したまま睨み合う体勢となった。


‥どうしようかな。この(しあわせな)状態でセーブしたいんだけど。これ強制イベント中なんだよな。


さっきのバグがもう一度再現出来るかもわからない状態でログアウトしたくない。

てか、そもそもログアウト出来ないな強制イベント中は。この戦闘イベントが決着し、強制イベントが終了しないとログアウトコマンドが表示できない。

セーブもできない。ログアウトも出来ない。

つまり現実にも帰れまテン。


じゃあさっさと戦闘終わらせろよと思うだろ?

いやいやいやそれが出来たら苦労しないっつーの!

オレに運命のヒトを殺せっていうんですか?それでもあなた人間ですか?誤ってください。もう一度言います誤ってください。…ヨシッ!次は無いですよ?


見た目が好みのキャラってだけなら

「穴沢」で自分の屋敷手に入れたらメイドのキャラクリ出来るから理想の彼女を作ればいいじゃん?

それか現実彼女にでも好みのキャラクリして使わせればいいじゃん?って?

…違うんだよ!全然違うんだ!

あとメイドは既に同じこと試しとるし、

現実彼女いない歴17年だよ!チクショウ!もう一回謝れ!


そう、違うんだ。このヒトは。細胞からDNAから全てがオレの理想で出来上がっていると感じるほど完璧なのだ。

ちょっと今からこのヒトに近いオレの理想メイド作ってニマニマしてたオレにビンタしてくるわってくらい違う。モノマネ王座で後ろからご本人登場したくらい違うわこの本物は。


なので殺せましぇん。そして僕は死にましぇん。


「はぁ、はぁ。


まだ、運命のヒトがナイフ滅多刺し疲れで両膝に手をつき屈みながら肩で息をしている。


ちなみに彼女の服装だが

結構首元の空いたタンクトップだ

おそらく服自体は盗賊頭のキャラのままなのか?

男モノのようでなんかサイズ合ってなくて

ブカブカなんだが、そして今のこの屈んだ体勢は…

ま、ま、ま、マズイ それ以上屈まないでくれ

それ以上イクともう、オレはもたない。


「・・・あ」


オワタ、オレの理性。

…オレは、オレは、人間をやめるぞぉ!


「プギィィィィィいいいいいいい!!!!!!」


それまでガンジーのような無抵抗主義だった

オレは狂ったように豹変し

運命のヒトを肩に担ぎ

まるでオーク(豚)のような奇声を放ちながら

森に消えていった。


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