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23.ショジョの奇妙な冒険

全然サブタイトルと違う…

私の名前は駿河(するが) 萌子(もこ)

本日で三十路(みそじ)(むか)える電脳科学研究者だ。

仮想世界『Another World 2』に囚われた頼人くんを助けるため隔絶された深層仮想世界に侵入した!


ガラスウィンドウに映る自分の姿に呆然(ぼうぜん)となっていた私は、

背後から近づいてくる黒ずくめの男に気付かなかった…。

私はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら・・・


「「体が縮んでしまっていた!!」」




…わけではなく



どこかの倉庫?だと思われる場所で寝転がされていた。


…まあ、確かに今は見た目は子供エルフ、頭脳は大人(みそじ)だけども…。


既に日は落ちているようで視界は悪かった。

すぐに身動きが取れないことに気付き首だけで周囲を見渡すと薄暗くカビ臭い倉庫のような広めの空間には他にも数人私と同じように縛られて倒れているようだった。


近くに横たわっている綺麗な女性たちを見ると今の私と同じような耳のカタチをしていた…そして音を立てないように(あらた)めて周囲を確認すると私が今見える範囲にいる全員が『エルフ』なのがわかった。


ナニが起きているのか状況がまだ掴めないので他の倒れているエルフ達と同じ様にまだ目覚めていないフリをしていると男達の話し声が聞こえた。


「最後の1匹はいるンスか?アレ…?」


「まあ、一応アレでもエルフだ。…値引きはされるかもしれねーが。」


「ハイブリッドエルフってヤツでしょ?アレ?激レアだし値は上がるんじゃ…?」


「バカ。モノを知らねーなお前。ドワーフとの混血なんて買う物好きいるかよ?アイツら風呂入んないんだぞ?ドワーフのハーフも入ってないんじゃねーか?なんか小汚かったし。」


「ドワーフとエルフなんて犬猿の中じゃないっスカ?種族間で。あ、だから激レアもんなんスね。」


「…おい、もうそろそろ取引の時間だ。準備しろ。…船がくる」


会話がひと通り終わると数人の男たちがコチラに向かってくる足音が聞こえた。



…5人か、ウチ3人がコチラへ2人は外へ向かっている。


私以外のエルフは全員が本当に昏睡状態のようでズカズカと無遠慮にやってくる男達の足音にピクリとも反応しない。


「やっぱよく効くっスねー。あのクスリ。」


どうやら私が不意を突かれ飲まされたあのクスリと同じモノを彼女達も飲まされ昏倒したようだ。


「エルフを捕まえるならアレが一番効くのよ!24時間まるっとお寝んねよ!」


「なるほど…。つまりハイブリッドエルフ、混血の私にはその効果が薄かったというわけね。」


「「「?!」」」


私は縛っていた縄を引き千切るとスッと立ち上がり近づいてきた黒ずくめの男達3人にそう告げた。


「てめぇ?ナニ起きアガッ!…

「あ、兄貴!テメべッ!!…


とりあえず手近にいた黒ずくめ2人を素手で掴んで床に沈めた。


「お、お前…なんなんだ?」


「…駿河(するが) 萌子(もこ)。…三十路(みそじ)だ!」


「・・・」

「・・・」


「・・・?お前…なんで泣いてんだ?」

「うっせ!


ズゴッ


残りのひとりも床に沈め、異常回復魔法を全体に掛けエルフ達を昏睡から目覚めさせた。


そして彼女達の拘束を解いていると


「おいおいおいおいおい!!!どぉぉなってやがる!?クソが!!」


先程、外へ向かった2人が帰って来てこの状況にひとりが怒鳴り声を上げていた。


「もう着港して取引が始まるんだぞ!?ナニ勝手なことしてやがる!?大人しく寝てろや!ボケェッ!!」


手のひらにバチバチとした電撃を走らせながら

その男はコチラに駆けてきた。


周りにまだ拘束を解いていないエルフがいて危ないのでコチラにたどり着く前にズンッと前に出て男の目の前に平手(ひらて)で立ち(ふさ)がった。私の行動に男は目を見開きほんの一寸だけ逡巡(しゅうじゅん)したが直ぐに手のひらを広げ私に向かって躊躇(ちゅうちょ)なく電撃を振り下ろした!


バヂバヂバヂッ!っと電流が体を駆け巡る音が弾けた!


「ナ ン ・ ・・デ ?」


口から煙を吐きながらこの男も床に沈んだ。


そして次に既にその倒れた男の背後後衛に潜み大型の(つち)を振りかぶっていた大柄の男を見据えた。

…私と目が合った瞬間。男は慌てて私の頭上にソレを振り落とした!


バヂィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!


…この技術は決して単なるLVの差によるものでは無い。


この全力で振り落とされた大槌を素手で弾いたこの技術の名は


『パリイ』


相手の攻撃に合わせその攻撃をタイミングよく弾くことでコチラはノーダメージのうえ相手に弾かれた硬直時間を発生させることができるアクション系ゲームではお馴染みの技術だ。


私は『パリイ』が成功した瞬間、大槌を弾かれ硬直した大柄の男のカラダを駆け上がり頭を掴んでそのまま床に沈めた。

…このカラダだと身長差があるのでひと苦労だ。


ヨッと、と私も床に舞い降りつつ、索敵魔法を使い周囲にまだ敵が残っていないことを確認。


「…そういえば別に殺しても良かったのか?隔絶仮想世界(スタンドアローン)だし。…いや、下手にこの世界に影響を与えてもな…」


相手とLV10以上の差がある場合の床・壁等による衝撃を頭部へ与えた際の攻撃ダメージは現在HPの1/10減少と『昏倒』のスタン効果が発生する。


LVMAXでは通常攻撃でオーバーキルしそうだったので

()()()()クセでヘイトが溜まるのを恐れ自然とスタンを狙ってしまった。

…まあ、ひとりは『パリイ』で自滅(感電)させたけど。



拘束を既に解いたエルフに残りのエルフ達の解放を任せるとスタスタと倉庫の出口に向かった。


外に出るとここはどこかの港の波止場だということが

わかった。


辺りには街灯も無いため薄暗かったが倉庫近くに停泊している1隻の輸送船のみ煌々(こうこう)と輝いていた。


「まあこんなもんかな?」


モコ:『魔法』⇒『爆裂魔法(中)』


魔法を放った瞬間

その船を中心に光った輝きは轟音と共に薄暗かった闇夜を昼間のように照らしていた。


「…やっぱり私、魔法は性に合わないな。

…気持ち良く無い。

…そんなことより早く、頼人くんを探さないと。」


轟々と燃え盛りながら沈みゆく輸送船を見ながらモコはその場を立ち去った。


こうして王都アバンティアの暗部のひとつであった人身売買シンジケートは人知れず一夜にして滅び去った。





かつて、『穴沢』において最強ランキング近接部門1位を3年連続で受賞し殿堂入りを果たし伝説となったプレイヤーがいた。


そのプレイヤーは近接戦闘に特化した『壁役(タンク)』でどんな攻撃でもその全てを。

成功確率の低い技術である『パリイ』で弾くという。


そのプレイヤーは『パリィジェンヌのモコ』という二つ名を持っていた。




モコ(駿河萌子)の脳内CVは高山みなみさんに決定しました!

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