21.思春期の豚は冒険することに決めた
「ライト、やっぱ時代は海賊かもしれん」
なんか可愛いのがなんかまた可愛いこと言いはじめた。
「姉御!それだけはダメ!絶対!です。大後悔します!」
オレは可愛いからって言って良いことと悪いことがあることを姉御に伝えた。
「ナニナニ?とうとうワタシと一緒にアバンティアを旅立って魔王を倒す気になったってわけ?」
とんちんかん姫英雄様が通常ストーリーを進めようとしてきたがうるせぇ黙れ!帰れ!と塩対応しといた。
てかなんでお前アジトに入り浸ってんの?
仲良しクラブの部室じゃねぇんだぞ!ココは!
オレと姉御の『愛の巣』なのだゾ!
するってーと、この通常ヒロインは姉御に泣きついた。
「プリンちゃん!ヒドイんだよ!らいとくんがスグ帰れって言うの!うぇ〜ん。慰めてぇ。お膝で慰めてぇ〜!」
こいつ何故か姉御に懐きやがって姉御の膝に縋り付いておいおいと泣きついていやがる。クソッ!裏山!そこ変われ!それはオレの膝だ!(違う)
「ヒドインはてめぇだろ!離れろ!姉御の膝から直ちに撤退しろ!あとプリンちゃんって呼ぶな!駆逐するゾ!プリンちゃんと呼んでいいのは俺だけだ!公約で決まっているのだ!」
「ライト!うるせぇぞ!あとテメェはダメだ!(プリン呼びは)」
「そんな!姉御!オレのアジェンダが!公約違反じゃないっすか!オレが許しても有権者が許しませんよ!?」
きーーー!オレは姉御の膝でヨシヨシされているエアルを羨望の眼差しで眺めながらハンケチーフを噛み締めた!
エアルのやつはこないだの『盗賊ギルド編』のあとからちょいちょいアジトに来ては「ハァ、英雄ってしんどいわぁ」「救国の騎士?っていうんですか?もう周りからの期待に応えるって大変スわ」「なんか『姫騎士様なら魔王イケますよ!』とか?ほんとマジウザいんですけどぉ?」とか聞いてもいないのにアピってきて正直お前がウザいんですけどぉ?ってくらいお調子にノってらっしゃる。
てかお前なんもしてないじゃん。『盗賊ギルド編』。
あと、「貴女が『プリンちゃん』だったんですね!ライバル認定試験合格です!『強敵』いや『友』と書いて『ライバル』です!負けませんよー!」とか言ってずけずけと姉御のソーシャルディスタンス内に入り込んでいった。
姉御のほうは基本天使なもんだから
「お、おう。『友』、友達か。なんか初めてだな。女の友達って、えへへ。ごめんな。盗賊ギルドの件、なんか頼っちゃって。」と神対応
…なんか嬉しそうだし。
おそらく『運命・宿命システム』のせいだと思うがエアルはオレ(プレイヤー)を強制的に好きになるヒロイン補正なのか、やけにオレに積極的に絡んでくるし、それで姉御はちょっとピリつくし正直俺としては邪魔なので帰って欲しいのだがそうするとエアルが姉御に泣きついてオレが姉御に怒られるという絶望的な負のスパイラル(三角関係)が発生している。
…だがしかし、こないだのアレは惜しかったなー!
エアルさえ邪魔しに来なけりゃイケただろ!アレ!
えっ?こないだのアレって?アレだよ!
キ、キ、キスしようとしてたよなー?おい。アレぇ!
一瞬だけ見えたけど姉御キス顔してたし!クホーーーーッ!!!エアルが急に告ってきて有耶無耶になっちゃったけど。コリャもう押せば倒してヤレるってヤツなんじゃあないだろうか!?ハァ、ハァ
…はぁ、まあヤレないんですけどね。R-15禁で。
というかR-15禁縛りがホント地獄なんだが!
コッチは17歳の多感に敏感な常にエロいことしか考えてないようなお年頃なのにアレが勃たないなんて!こないだのバイパー生殺しの刑よりよっぽど地獄の生殺しなんだが!?オレが殺っといてなんだけど末期のバイパーより発狂しそうだよぉぉぉ!!!!
『穴沢2』生活も2週間目だ。
現実のオレのことも心配になってきた。
正常な思春期男子が1週間以上ヌいてない。
正常な思春期男子が1週間以上ヌいてないってことは
…多分オレはもう死んでいるのだろう。
親とかに大惨事を見られて死ぬしかないのだろう…。
うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!
まだ持ってくれ!まだ暴発しないでくれ!
ハァ、ハァ
てかさ万が一、万が一よ?
姉御もその気になった日にゃどうすんだよ!
「ライト、いいよ。」「あたいを滅茶苦茶にして!」
ってなったらどーしてくれんのよ?どーにかなっちゃうでしょうが!?でも勃たないって!姉御に恥をかかせる気ですか!チクショウ!
もうアレか。…手と口だな。手と口を使ってなんとかするしかない…大丈夫だ。大丈夫。…多分。
オレはVRでは卒業してるんだ。
中3のとき同じクラスのかっちゃんから借りたかっちゃんの兄貴秘蔵の『18禁VRプレイ:ドキドキ筆下ろしシリーズ:年上のお姉さんが色々教えてア・ゲ・ル♡』でオレはVRお姉さんに全てを教えて頂いたのだ!勃たないのならテクニックでカバーだ!うん!ヨシ!安心してくれ!姉御!
あーーー!なんかVRお姉さん思い出したらムラムラしてきたーー!
ん?
アレ?
ゴシゴシ…
目ノ前ニ・VRオネェサンガ・フタリモイル?!
…………
……モ
…モウ・コノサイ・フタリトモ・イッチマウカ?!
オレの中のモンスター【オーク(サカりのついた豚)】がまた封印から目覚めようとしていた!
「なあ、ライト、どーする?マジメに。そろそろ新しい職探さないと貯蓄もすぐ底を尽きちまうぞ?」
「…プギ!?」
「プギ?」
姉御が不思議そうな可愛い顔でコチラを見つめていた。
「・・・
プギィ、ギ、ギ、ギ、ギィルド?、そう、ギルド!
…冒険者ギルドです!冒険者ギルド行って稼ぎましょう!姉御!」
オレは無理矢理豚の封じ込めに成功し
『穴沢2』を進めることにした。