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20.おおっと!ちょっと待ったコールだ!!

状況を把握したスプリントの処置は的確であった。


まず目の前で怯えている盗賊ギルドの幹部(ボス)バイパーと腹を割って話し合いを行い、ライトへプレイルームの女性達の開放を指示。バイパーは彼女らにこれまでの行為を、彼女らの容姿・人生を破滅させたことを誠心誠意、人格(ヒト)が変わったかの様に謝罪した。決して許される様な事ではないがと前置きして(おの)れの贖罪(しょくざい)を求めた。


彼女らはもはやバイパーを憎しみよりも心の底から恐れていた為、二度とバイパーと合わずに済むことを望んだ。そしてキズつけられたこの顔や容姿はもう治らないものかと(なげ)き涙した。


ライト…と姉御はオレを見た。オレはもちろん心得たもので彼女ら全員に『完全回復(パーフェクトヒール)』をかけ、バイパーに囚われる前の美しい姿へと彼女らを戻した。ココロのケア、記憶を消す等の魔法は無くココロに()ったキズまでは元には戻せないのでそっちは時間を掛けて自分で治していってもらうしかないが。


女性達を解放したあと、姉御はバイパーへ今後のことを確認した。バイパーは出頭し、これまでの悪行を償うと話した。そして姉御へも殴ってすまなかったと謝罪した。もはや抜け殻の様になっていたバイパーの巨体はずいぶん小さく見えた。


「…いえ、アレは()()通り、自分が下手打ったケジメです。今後のことは自分の気の済む様に…」と姉御はバイパーに言っていた。


「…お前に跡目(アト)は任せる。」そう言いバイパーはその後、座り込んだまま黙した。








…気が付けば女性の顔が目の前にあった。

「お、起きたか?」


どこかでらいとくんの声がしたがワタシは何故か声のしたほうを向けなかった。


どうやらワタシはこの女性に膝枕されているようだ。


血塗(ちまみ)れだったからな。ちょっとカラダは拭かせて貰った。」


その女性はそう言うとワタシの頭を優しく撫でてくれた。


「目覚めて早々で悪いが相談がある。」


彼女は今の状況とバイパーの処遇、盗賊ギルドの必要悪としての重要性をワタシへ語った。

そのうえで盗賊ギルドの解体を王女であるワタシに頼んだ。




それからはあっという間だった。


出るわ出るわの悪行三昧。盗賊ギルドからは盗品、奴隷、薬物などの物的証拠。暗殺、魔族との違法取引などの状況証拠、そしてバイパーの自白による証言で完膚なきまでに王都アバンティアから盗賊ギルドは取り潰された。王国政府中枢に蔓延(はびこ)ったギルドと繋がりを持った役人たちも汚職により一掃された。



それらを単独捜査で暴き、単身盗賊ギルドへ乗り込み壊滅させたという王立警ら隊:エアル・アバンティア王女の功績、武功は王都中の国民を歓喜震撼させ、噂が噂を呼びオヒレハヒレでもはや1日で伝説の英雄、伝説の騎士となってしまっていた。







「…良いんですか?姉御?オレは。オレへのケジメは。」


オレと姉御はエアルの手引きもあってなんとか

『始まりの森』のアジトまで戻って来ていた。


「…ケジメ、ねぇ。」


「オレのせいで姉御の手下も盗賊暮らしも滅茶苦茶にしちゃったんですよ。オレ」


オレはここまで俺にナニも触れてこなかった姉御に迫った。


「…ライト。」


「…はい。」


「…好き…」


「えっ!ええっっ!!」

突然の告白にガタガタッとアジトのダイニングの椅子からオレは転げ落ちた。


そんなオレを見て姉御はジト目で

「アホ。最後まで聞け。

()()勝手やって生きてる盗賊稼業だ。全滅してしょっ引かれるなんてのはオレも手下(あいつら)も毎日覚悟のうえなんだよ。」


…うう、勇み足。ぬか喜び。恥ずかしい。


「ただ、盗賊ギルドをブッ潰したのはなぁ。…お前やり過ぎだろぉ…。オレ馬車強盗くらいしか出来ないんだぞ。盗品どこで(さば)けば良いんだよ?」


「うぅ、すいません。姉御ぉ。」


「…ま、オレの為に怒ってしてくれたんだろ?

…ありがとなライト。…やり過ぎだけど。

…あと、コレもありがとな。…結構気に入ってる。」

姉御は頬を掻き、耳のピアスを(いじ)りながら

そういうと椅子から立ち上がった。


「まあ、ケジメっていうなら立て!ライト!」


オレは言われるがまま即座に姉御のまえに真っ直ぐ直立した。


「目を(つむ)れ!」


オレは言われるがまま即座に目を(つむ)った。


・・・・・


・・・・


・・・


…なんか…長いな?…ん?

なんか良い匂いが顔に近づいてきた。


えっ?



うそっ?



マジで!?



ッガガっ!!ピーーーーーーーー!!!!


『ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁああああ!!!!』


大音量のスピーカー音がギリギリのところでダイニングに響きわたった!!


目を開くと慌て顔の姉御が俺からパッと離れて顔を真っ赤にさせていた。




バーーーーーーン!


とアジト入り口のドアが開き姿を現した

姫騎士、エアル・アバンティアがヅカヅカとダイニングテーブルまで来て『「ちょっと待ったーーー!」』と通信魔道具を使ってもう一度同じ事を言った。うるせぇ!なんだよ!もう!邪魔するなよ!あと近い!


そしてジッとオレの目を見て少し緊張しながら

「責任取ってくれるって言いましたよね?」

と言ってきた。


「?、あ、ああ、すまん。全然取れてないな。責任。全部お前に押し付けちゃって。わ、悪いと思ってるよ。」


「違います。ワタシのカラダを(もてあそ)んだ責任です。責任を取って結婚を前提に付き合って下さい!」


「?!へっ!?」


「ライト、てん()ぇぇ!!!」


姉御が怒りながらポコポコとオレの顔を殴ってきたが痛くない。LVMAXだもんで。オレ。

むしろ激おこ可愛い姉御プンプン丸超可愛い。



…こうして、オレの『穴沢(あなざわ)2』生活は

2週間目を迎えるのであった。



姉御との楽しい生活はまだまだ続きそうだ。




とりあえず第1章完結で。またそのうち第2章始めるかもしれないのでその時まで皆さんお元気で。でわでわ。

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