13.ヒメサマスイッチ
そろそろ姉御と別れて2時間あまりが過ぎようとしていた。オレは慌てて、仮入隊届とオレを交互に見てポーっとしているエアルに大事な用事があって時間がないことを伝えた。
すると腰のベルトからするりと自分の通信魔道具をポーチごと外しオレに手渡してきた。
「こ、コレで連絡をと、取れるようにするから。
持ってて、えーっと、らいとっ・・・くん。」
「…あっ、あと王立警ら隊のバッヂ
コレがあれば王都内で有ればイロイロ権限が付与されてるから。公的に。衛兵へ見せればこの王宮内への通門とかも出来る…だけど、普通このバルコニーまでは正規隊員でも来られないんだよ。」
と、エアルは少し微笑みながら
「ふふふっ、たまたまだと思うけど、ここ私の私室のバルコニーなのだよ。部屋まで送ってくれてありがとう。」
と部屋の中を紹介してくれた。
大きな部屋の中を見るとなるほどプリンセスらしい可愛い天蓋付の大きなベットがあった。
それから説明しきれていない警ら隊の活動等の情報は後日、通信魔道具で連絡するので絶対に出るようにと何度か念を押され今日は帰ってヨシっとなった。
しかしどうやって帰ろうか?と相談したところ
王宮1階のエントランスまで見送るよと言ってくれた。エントランスまでは警ら隊のバッヂで出入りが出来るとのことだった。
さて、行こうかと部屋を移動するため二人並んでベットの前を通り過ぎようとした時、『運命・宿命システム』が作動した。(トリガーはエアルの部屋にエアルとふたりで入ったことだろうか?)
前を歩いていたエアルの腰ベルトが通信魔道具を渡す際に緩んでいたのか急に外れ、すとーんと足元までスカートごとズリ落ち、ベルトに足が絡れ、頭からすっ転びそうになっていたのでとっさに後ろから支えようと制服の裾を掴んだらそれもスポーンと脱げ、すっぽ抜けた勢いで2人してベットへでーんとダイブした。(どーいうピタゴラッキースケベイベント用意してんだよ制作!)
「・・・。
「・・・。
「「?!」」
ほぼ半裸のエアルと勢いよくベッドインしてしまい、お互い真っ赤になって慌ててジタバタと抜け出そうとしてまたもくんずほぐれず密着して最終的にエアルに覆い被さるような体制になってしまった。ナンデ!?
エアルを見ると涙目をキツく閉じ頬を赤らめ覚悟を決めた女騎士の顔で「くっコロ!」とか言っていた。
「くっコロ」の使い方間違ってるぞと女警備員に注意しようとしたところ
「きゃぁぁぁあぁぁあああ!!!姫が!誰か!」
たまたま掃除に来たメイドさんがこの状況を目撃して大きな声で叫び声をあげた。
うーん、R-18でログインしていたら気を遣ってもうチョイ遅れてメイドさん来るのかも知れんな。
まあ、エアルに違うと説明するよう求めたが
「決してくっコロだもんでぇ自分」とナニカ妄想してニヤニヤして悶えており、もうダメだコイツと思い、待ち合わせの時間に間に合わないので帰りますとメイドさんに伝えて一礼しバルコニーからスッっと帰った。