3 3年前
――3年前――
「お前、何か今日はヘンだぞ、ミョーにはしゃいじゃって。どうしたんだ? 無理しなくていいぞ」
いつも明るい彼女だが、今日は輪をかけて明るい。というか、わざと明るく振る舞っているように感じる。
何だろう、この違和感。妙な感覚が俺を包む。
「わっ! そんなに優しいこと言ってくれちゃって。そっちこそヘンだよね。あっ、もしかしたら私のこと、好きなんじゃないの?」
それでもなお明るさを増す彼女の言動に、胸騒ぎが全身を怪しく駆け巡る。
「バ、バカ! っんなわけねえだろー」
だけど返す言葉は額面通りに受け止めた単純な言葉。
「わー、赤くなってる」
「なってねえよ。そんなこと言ってお前こそ、ホントは俺のこと好きなんじゃねぇの? ほっぺ赤いぞ! ん?」
なんて言いながら、右手で彼女の頬をつまんだ。
すると彼女は俺の手を振り払い、ムキになって答える。
「そ、そんなわけないでしょ! ほんと、ばっかじゃないの? それに私達は親友なんだから、そんな恋愛感情なんか、あるわけないじゃない」
キッパリと言い放つ彼女に、ドキンと鼓動が大きく唸る。
俺は返す言葉を無くし、ポツリと呟いた。
「……そうだな」
あるわけないよな。子供の頃からの約束だもんな。
お読み下さりありがとうございました。
次話「4 幼馴染み」もよろしくお願いします!