12 ずっと親友でいることに意味があった
彼女の――深空の命に限りがあるなんて。
彼女の言う通り、こんなに元気な彼女があと3ヶ月で星になるなんて、誰が想像できようか。
……3ヶ月。
でも。でもそんなの解んねぇし。
医学が劇的に進歩して、もっと長く生きられるようになるかもしれないし。
ひょっとして治っちゃうかもしれないし。
だけど、この思いは心の中に留めておくことにした。
ヘンな期待を持って、叶わなかったとき、尚更に苦しくなる。
それぐらい俺にだって解る。
「だから……それまで大親友でいてね」
そう言って、彼女は微笑み握手を求めてくる。
「ああ、もちろんだ」
男女の間に友情関係は成立するのか、とよく言われるが、俺たちは敢えてその選択をすることにした。
そして俺たちは親友という絆の握手を交わす。
俺の気持ちは苦かったが、そのときの深空の笑顔が今も脳裏に浮かぶ。
その微笑みがあまりにも愛おしすぎて、俺は思わず言ってしまいそうになった。絶対に言えない言葉を。どんなに言いたくても、言っちゃいけない言葉を……。
だけど俺は、自分の気持ちを封印することに決めた。
彼女の意志を尊重したいと、彼女がそう望むなら俺の心なんてどうでもいいと思った。
彼女を安心させたい。ただその一心で。
お読み下さりありがとうございました。
次話「13 旅立ち」もよろしくお願いします!