11 ダメ出し
深空の言葉がにわかには信じられず、俺は動揺した。
「その病院、おかしいんじゃないか? きっと検査ミスだよ。他の病院行こう」
俺は立ち上がり深空の腕を引っ張った。
だけど深空は首を横に振り、静かに答える。
「私も信じられなくて、『セカンドオピニオン』っていうのしたんだけど」
「うん。それで」
「結果は同じだって」
「マジかよ」
俺は頭を抱え、力を落としてベンチに座り込んだ。
少しの沈黙の後、彼女はまるでヨシヨシと子供を元気づけるような素振りで、「まあまあ落ち着いて」と俺の背中をポンポンと叩く。
「そうだな。信じられなくて、つい。悪かったな」
「ううん」
彼女はそう言いながら首を横に振って、笑みとともに「ありがとう。本気で心配してくれてるのが解って、嬉しかったよ」とつけ加えた。
俺はどう答えていいのか解らず、「いや」と短く返す。
深空は大きく吸った息を吐きながら言う。
「なーんか、希望を持って受けた『セカンドオピニオン』で、ダメ出しされた気分」
「そっか。辛かったな」
「あーあ。こんなに元気なのにね~」
本当に。
こんなに元気な彼女があと3ヶ月で星になるなんて、誰が想像できようか。
お読み下さりありがとうございました。
次話「12 ずっと親友でいることに意味があった」もよろしくお願いします!