10 嘘だ!
3ヶ月限定の親友……か。
『限定』という言葉を発して、我ながら妙にひっかかった。
「3ヶ月じゃなくて、これからもずっと親友だよ」
俺が言うと、彼女は「ありがとう」と微笑んだ。そして。
「最近調子が悪いって言ってたでしょ」
前の景色に目をやりながら、少し躊躇いがちに言う。
「ああ。検査したって言ってたな。結果でたのか?」
少し前に、身体の不調を訴えて病院で検査をしたと言っていた。
結果はとうに出ているのは知っていたが、俺から聞くことはしなかった。
催促して聞くことではないから。深空のタイミングで話があるまで、敢えてその話題には触れずにいた。
「うん」
俺はゴクリと唾を飲んだ。
「私の命の……期限」
彼女は涙を拭った。
「えっ、まさか……!」
体中に、衝撃が走った。
「そう」
「それが3ヶ月だって言うのか?」
驚いてそう尋ねる俺に「らしいね」なんて微笑んでみせる。
「そんなの嘘だろ! こんなに元気じゃん!」
こんなに元気じゃないか!
「ほんとに」
そう言いながら目の前の景色を見つめ、尚も微笑む深空につい余計なことを言ってしまう。
「お前、俺を揶揄ってるんじゃないだろうな?」
少し哀しげに目を伏せて彼女は言う。
「そうだといいんだけどねー」
嘘だ。嘘だ!
そんなことあるはずがない。
深空が。俺の深空が……そんなこと!
お読み下さりありがとうございました。
次話「11 ダメ出し」もよろしくお願いします!