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中二病の話。

作者: ふるたろう

ふとした時に「自分の目線はこんなに高かっただろうか」「視力はこんなものだったろうか」と疑問に思う事がある。

それを父に問うと、「きっと妖精さんがお前の目を借りに来たんだよ。しょっちゅうじゃない、たまにだろう? すぐに消えてしまうものなのだから、使わせてあげなさい」と諭された。


そんな話を放課後、たまたま二人だけになった教室でクラスの女子に話すと、優しいお父さんだね、とくすくすと笑われる。


私も同じ事、時々起きるよ。机に腰掛けて投げ出した足をぶらぶら揺らしながら彼女が答えた。


「違和感あるよね。私はね、こう思ったよ」


肉体はアカウントでしかない。アカウントそのもの、肉体である私たちはそれを知らずに生きている。ゲームの登場人物が自分の存在を疑問に思うなんて、おかしいでしょ?

時々ログインする人が変わるの。そんな時に、あの違和感が私たちを襲う。きっと私たちは、あの違和感に襲われる度に、「中身の違う人間」に生まれ変わっているんだよ。


先に教室を出た彼女を見送ってから、その言葉を反芻するように考えながら帰路についた。そういう視点もあるのか。


翌朝、自分はやはりそうではないと思う、と一晩考えた話を彼女に投げ掛けた。それでは記憶の引き継ぎや日常生活で家族や他人に怪しまれてしまうのではないか、そう思ったからだ。まだ十数年と短い人生しか歩んでいないけれど、これまで他人になってしまった、と自覚した事などないし、彼女のその説はあまりにも暴論だと思えた。

彼女は珍しく巻いた髪の毛先を指でくるくると弄りながら、おかしそうに僕を見上げる。


「何その話。てかうちら、そんなに仲良かったっけ?」

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