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ハーレム要素は盛り込まないぞ

 筆者が物語を読む際に最も嫌うこと、それは、登場人物の不条理な行動である。


 ご都合主義やテンプレと呼ばれる諸々と少しばかり被るが、それらを指しているわけではない。


 登場人物がなにがしかの行動をする際 「自分ならそんな行動はしない」 をされるのが嫌いなのである。


 一言で言えば 「それはない」 が嫌いなのだ。


 乱暴なことは百も承知で例を引く。


 自分に好意を寄せてくれている独り住まいのヒロインが自宅に招いてくれた。お互い大人の男女である。なぜそこで押し倒さないのだ? …… 「それはない」


 R18 やら何やらは置いといて。

 物語の進行上、ヒロインから身の上話? 頼み事? をされるエピソードが書かれるのは大いに結構。

 だがしかし。そこで押し倒さないならば自宅に招かれなくてもよいではないか。

 茶屋か昼間の公園かであればスッと入ってくるのに。



 物語の舞台設定的に必要な 「おかしなこと」 は大抵受け入れる。


 ハイファンタジー小説での魔法・魔道具・魔物・精霊・妖精・魔王・勇者の類は 「あり」 である。

 役者が演じるには役柄や小道具があって然るべき。


 主人公最強、無双は 「あり」 である。

 スカっとしたい物語を読みたくて扉を開けたのだから。


 主人公がイベント体質なのも 「あり」 である。

 毎日毎話、厄災が降りかかり事件に巻き込まれる者などいないと宣わったりしない。

 主人公が事件に遭遇しないと物語にならない。



 筆者が一人の読者として 「それはない」 と思うことを分かりやすい例でいくつかあげる。

 ※筆者注: 他作者・他作品を貶める意図は毛頭ありません。


 公爵令嬢が僅かな召使 (非戦闘員) だけを伴って人気のない街道を行く …… 「それはない」

 公爵令嬢っていったら王家の血筋を引くお姫様待遇だ。何十人かの護衛に守られないで街の外に出るわけがない。


 その場限りの泡沫キャラであるショボイ盗賊たちが貴族の馬車を襲う …… 「それはない」

 やられキャラだって自己防衛本能を持つ。それが最大の行動原理のはずだ。護衛が皆無の馬車を見つけたって、貴族と思しき飾り付けがされた馬車なら襲わない。地の果てまで追われることになるくらい想像つくはずだ。割に合うはずがない。


 自分を助けてくれた 「たかが一平民」 である冒険者に、会ったその場で、公爵令嬢が恋をしてしまう …… 「それはない」

 貴族の中でも最上位である公爵家のお嬢様からしたら平民なんか虫けらだ。お礼を言うことすら怪しい。一目惚れはいくらなんでも。


 主人公が自身の命を狙ってくる敵と対峙する際、その敵キャラの悪行やらうんちくやらを長々と喋る …… 「それはない」

 圧倒的な強者である敵の隙を作り出すためであれば別だが。こちらが強者であればまずは倒す、殺すか あるいは 反撃ができない状態までもっていくべき。語るのは対戦の前か後でお願いする。


 主人公が自身を殺しにくる敵キャラ達を次々と許してしまう …… 「それはない」

 助命された敵キャラ達は例外なく改心して善人になってしまう …… 「それはない」

 助命された敵キャラ達が次々と主人公の仲間になってしまう …… 「それはない」

 理由割愛。



 それらが不条理な行動ではない理由を読み手に示してくれれば 「あり」 だ。

 ほのめかすだけであってもいい。


 神が公爵令嬢に告げた 「あなたのパートナーとなる者が持つ印」 であることを匂わせる 「紋章らしき痣」 が主人公の手の甲に認められたとか。


 主人公は 「不殺」 を自身の生き様として課して (課されて) おり、それが物語の背景の一つであるから敵を殺さないのだとか。



 『なろう』 を知る前は本屋か通販で購入した本を読んでいた。

 ※筆者注: もちろん今でも。


 筆者は、読者として許容できない 「不条理な行動」 がある一定レベルを超えると、その物語を読み進めることを止める。

 まだ数十頁しか読んでいない本であってもだ。

 大人買いした数巻のうち最初の1巻であってもだ。

 それ以降は読み続けることが苦痛になるからだ。


 自分の財布から出したお金で購入したものである。一冊千円札1枚前後の出費をしているのである。千円が惜しいか? うん。惜しい。

 我が財を投入して自身の所有物とした本である。完読したい。元を取りたい。


 だがしかし。苦痛を覚えることに時間を使いたくない。

 年齢を重ねたおかげで千円くらい捨てられる余裕くらいは得たが、逆に、自由になる時間が少なくなったのだ。日々の中でも。残りの人生の持ち時間においても。


 自分の持ち時間は満足を覚えることに使いたい。


 一人の読者の主観としてではあるが 「不条理な行動」 をとる登場人物が散見される物語は、読みたくないし読み進められないのだ。



 ある種のハーレム要素は、筆者にとって 「不条理な行動」 だ。


 男主人公。主要なサブキャラ達は全て女性。その女性たちは例外なく主人公に恋心を寄せる …… 「大いにあり」


 カッコイイ主人公である。周りの女性たちが惚れないはずがない。そうあって欲しい。

現実の自分には起こりえないウハウハ感が脳内を駆け巡って欲しい。


 だがしかし。

 主人公が毎夜のごとくその女性たちをとっかえひっかえで寝まくるのは …… 「それはない」

 その女性たちがお互いに背を預ける仲間と認めて行動を共にする …… 「それはない」


 プレイボーイがNGなわけじゃない。仮想の物語にそこら辺の倫理観を求めるほど、筆者は人間が出来ているわけではない。昨日寝た女と今日寝る女の両方と一緒に昼間に行動を共にするのは、筆者的に 「それはない」 なのである。


 女性側も然り。寝るか寝ないかは別にして。ほのかな恋心ならまだしも、そこを通り過ぎた感情まで達しているにも関わらず、恋敵と共に命を守り合う行動は…… (以下略)


 読みたい物語を書くのだ。


 ハーレム要素は不要だ。


 ※筆者注: 主人公たちの性別を女と設定する前の、どのような要素を盛り込むかを考えていた頃の話です。本エッセイ的には第1.5話あたりでしょうか。


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