〈詩集〉年末に舞う想い
【白い桜】
イルミネーション輝く歩き慣れた道
白い溜め息
空から舞い落ちるは
白い桜の花びら
ふわふわと
葉が落ちきった街路樹が並ぶ道
白い花
満開の桜並木
白い僕の肩
しんしんと
ただひたすら歩き続ける
白い街
頭をよぎるは
あの日の僕とあの日のあなた
二人歩いた桜並木
あの日もこんなに寒かっただろうか
きらり輝く街路樹の道
写る人影は
僕一人
【今年一年】
今年一年
前年の想いを繋いだ一月
歯を食い縛った二月
息が切れた三月
想い新たな四月
希望が生まれ始めた五月
希望が根付いた六月
今年一年
夢を結んで泣いた七月
笑顔が笑顔を呼んだ八月
影落ちた九月
想い沈んだ十月
闇に沈み始めた十一月
光を探した十二月
今年一年
全く同じ日常はなく
たくさんの理由で泣いて笑って
たくさんの理由で得て失って
そして今終わり行く
来年の一年へと向かう
風に乗って
【帰ってくる想い】
久しぶりに、君が帰ってくると聴いた。
胸の中に、陽が満ちた。
また一緒の時を過ごしたい。
遠いあの日を思い出して、君を想う。
久しぶりに、君を想った。
もう想ってはいけないと、決めたあの日以来。
また一緒の世界で生きていきたい。
禁忌の蓋が一気に開いて、君を探す。
久しぶりに、君を探した。
すれ違う人、電車の中。
君はきっと、何事もないように
どこかを歩いているだろう。
そんな君に、会いたいと想う。
お帰りなさいと、言いたいと想う。