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ボー  作者: RENPOO
41/61

【グランディス】

ボルドさんは真っ先に立ち上がって出迎えました。

「ご主人様、このたびはありがとうございます。この嵐をどうやり過ごそうかと困っていました、大変助かりました」

ダンクさんに倣い他のみんなも屋敷の主人にお礼を言いました。

「難儀でしたね」

主人はグラスを持ったままずかずかと進み、一人掛けの席に座りました。

ボーは腕も細く身軽なたちですが、屋敷の主人はがっしりと太い腕で、まるで彫像の戦士のような体格です。

ユメッソスさんは屋敷の主人の隣に座ると、他の席に皆を座らせました。

皆が席に就くとユメッソスさんは屋敷の主人に一人ずつを紹介しました。

屋敷の主人はいちいち礼を返したりはしませんでした。

紹介される人を掲げたグラスの越しにちらりと見て、一通りの紹介が済んでからやっと名乗りました。

「主のグランディスヘルグラマイトです。ああ、先ほどのお酒を頂いていますよ、なかなか気に入りました」

グランディスさんは銀の脚付きのグラスを目の前に掲げました。

中途半端な人ではキザになるようなしぐさでも、豪華な服を着たたくましい若者がすると、とても格好良くさまになりました。

「私の故郷のお酒です。気に入っていただけたなら何よりでございます、」

ボルドさんは言いました。

「何とか雨風だけでもしのぎたいと途方に暮れておりました、こんなご立派なお屋敷にお招きいただけるとはありがたい事です」

続けてダンクさんも屋敷を褒めました。

「本当にすばらしいです、こんなに大きくて豪奢なお屋敷は初めて見ました」

でもグランディスさんは褒められても当然といった風で、特に喜びもしませんでした。

「いや、独り者なので広すぎて持て余しています」


ユメッソスさんは挨拶が終わったと見るとグランディスさんに話しかけました。

「その日に持っていたのが例の青い弓だったのです・・・」

どうやらこの部屋に入る前から続いていた狩りの話です。

グランディスさんは適当に相槌を打ちながらテーブルの上のベルを鳴らしました。

「・・・そこで我輩がたった一本射ると、なんとずばり命中です。我輩は大きな声で言いました。『我輩が一番弓だ!』・・・」

鈴を聞きつけた執事のアリーさんは飛ぶように走ってきました。

「何かつまみを持ってこい」

グランディスさんはアリーさんが近くに来る前に言い、

「かしこまりました」

アリーさんは立ち止まる間もなく引き返していきました。

ユメッソスさんは執事が来た事にも気付かなかった様子で話を続けていました。

「・・・ど真ん中です。雌ジカの胸にばっちり刺さっていました。我輩はあわてず騒がず『たまたま運がよかっただけさ』と・・・」

グランディスさんはユメッソスさんの話を聞いている様子がありません。

もしかしたら狩りの話にはうんざりしていていたのかもしれません。

ただ、口から出た言葉にはそんなそぶりはありませんでした。

「それは実にすばらしい。だがユメッソス殿、今日は急ぎの用事でいらしたのではなかったのかな」

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