第4話
宮薙愛理が入院し始めて5日が経ち、煉華は毎日、愛理のお見舞いに行っていた。そして今日も学校が終わり、相市仁絡と共に、病院に向かっていた。
「愛理さん、昨日も元気で良かったな」
「そうだね、早くお姉ちゃんに会いに行こう!」
病院に辿り着き、病室に向かうと…大きな声がしていた。どうやら2人の声がしている。1人は愛理だろう。しかし、もう1人の声が聞こえた瞬間、煉華達は嫌な顔をした。
「ですから、もう来ないで下さい!」
「何を言ってるのかい? 僕と君との仲じゃないか」
「貴方が強引に近付いて来て結婚とか求めてるからいけないんじゃないんですか!」
「君は僕と結婚する運命なんだよ?」
「何をしてるんですか!」
勢い良く扉を開き、煉華達は病室に入った。其処にいたのはベッドに座っている愛理と、軽薄な男が居た。
男の名は『相津海斗』
相津家の御曹司だが、女癖が物凄く悪く、そして強引に愛理に近付いて結婚を申し込んでいる。
年齢は30代位で、愛理とお近付きになりたいのか、相津家の立場を利用し煉華達の学校の教師として赴任し、更に愛理のクラスの担任を強引に付いたのだ。
そして、生徒の評判は物凄く悪いが、手を出したらどうなるのか分からなくなってしまうのか、教師全員が手を出せないでいた。煉華の事が大嫌いで、煉華を『お邪魔虫』と呼んでいる。
「誰だと思ったら、お邪魔虫じゃないか? 僕達の愛の巣に入らないで貰えないかな?」
「何が愛の巣なんだよ。 愛理さんは嫌がってるのに、強引に迫ってきて…嫌われてる自覚を持てよ」
煉華をお邪魔虫と呼んでキレてしまったのか、仁絡が突っかかってきた。
「き、君は僕に口答えをするのかい!? 僕のパパが黙っていないんだからな!」
「三十路のオッサンがパパとか言ってるし、恥ずかしいと思わないのか!?」
「ふ、ふん! 黙って聞いていれば好き放題言いやがって…!」
その時、扉が開かれた。現れたのは1人の青年だった。
「よっ、愛理。 元気にしてたか?」
「な、直久君!」
「直久さん!」
「榊原さん!」
「煉華ちゃんと仁絡君じゃないか!」
病室に入ってきたのは、『榊原直久』
愛理の1歳年上の19歳で、愛理の幼馴染みで煉華と仁絡の事も良く知っている大学生だ。
優等生で運動神経抜群で誰からも親しまれているのだが、この世で1番大嫌いなのは相津海斗である。
「おいオッサン、いい加減に愛理に会いに来るのは止めてくれ」
「お、オッサンだと!? お前も僕を馬鹿にしているのか!」
「馬鹿にしてるんじゃねえよ。 それにオッサン、アンタはこの病院に出入りするのを禁止になってるんだぞ」
「なっ…なんだと!?」
出入り禁止と言う言葉にワナワナと震えている海斗に煉華が畳み掛ける。
「貴方はお姉ちゃんと結婚を大声で申し込んでるのが、他の人達に迷惑をかけているの。 今日は変装とかで来て、音量を低くしてるのは丸分かりです!」
更に海斗はブルブルと震えると…。
「ど、どうやら僕を本気で怒らせたようだね! 見てろよ…ここの病院を絶対潰して、僕と愛理との愛の家を造って貰うように、パパに言いつけてやる!」
そう言い残して、海斗は立ち去っていった。
「愛理、大丈夫か?」
「私は大丈夫。 煉華と仁絡君も来てくれてありがとう」
「お姉ちゃん、今日も元気で良かった…」
「あのオッサンが来なければもっと良かったんだけどな」
そんなこんなで20分後…。
「それじゃ、ボク達は帰るね」
「また明日も来ますね」
「またね」
そう言うと煉華と仁絡は帰って行った…。
《レンカ、少し話がある》
「…仁絡君!先に帰ってて!ちょっとトイレに行ってくるから!」
「わ…分かった!」
女子トイレ内
「どうしたの? イリネス」
《あのナオヒサと言う者…何か不思議な能力を持っている…》
「直久さんが!?」
イリネスの衝撃的発言!果たして、榊原直久は不思議な能力を持っているのか!
次回、とんでもない事が煉華に襲い掛かる!