第3話
「お姉ちゃん、大丈夫かな…」
煉華は家に帰ってきた。そこにはいつも一緒に居る愛理の姿は無かった。
《ここがレンカの家と言うのか。 誰も居ないな、親とかは居ないのか?》
「うん、愛理お姉ちゃんと2人で暮らしてて…お母さんはボクが幼いころに病気で亡くなっちゃって…、お父さんは居るんだけど…ちょっと…」
煉華は昔、姉の愛理に両親の4人暮らしをしていたが、煉華が5歳の時、母が癌により病死、最初は優しかった父だったが、徐々に態度が変わってしまった。
8歳の頃から、父の暴力を受けて複数の痣が出来るほどの虐待を受けていた。そして、姉の愛理にも警察に言うなときつく言われてしまい、それが5年も続いてしまったのだ。
そして13歳の時、父に純潔を奪われ、煉華は目に光を失った。
しかしそんなある日、父が寝ている時、愛理は煉華と一緒に警察に言いに行き事情を説明し、警察は父を逮捕。しかし、父は暴行を否定、それどころか痣は煉華が自分でやったと嘘まで仄めかした。
それでも愛理はこれ程までの父の行為を説明し、涙を流し、裁判官たちに訴えかけた。
そして愛理の願いが届いたのか、判決は有罪、懲役刑が言い渡された。それから煉華の目の光を取り戻すためのリハビリが始まった。
愛理の懸命なリバビリに1年と半年をかけて煉華に目の光が戻ったのだ。
そして現在、煉華は不思議な力を授かった。今度は煉華が愛理を助ける番だと、煉華は思った。
《お主は辛い時期を送っていたのだな》
「うん…でも、ボクは頑張って生きてきた…だからお姉ちゃんと一生懸命に頑張っていく事を決めたから…」
煉華は今でも愛理と一緒に居たいと思っている。 しかし、何時かは愛理も結婚して煉華の元を離れていく。そう薄々煉華は感じ取っていた。
《それでレンカ、姉の元に何時行くのだ?》
「明日から毎日行こうと思う。 お姉ちゃんを護らないと…」
《ふっ、そうか…なら尚更護らぬといかないな》
「うん!」
煉華は強く頷く。これから起こることも、皆が生きるために一生懸命に頑張ることを誓って…。