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秋原短編集

傷痕とスカーフ

作者: 秋原かざや
掲載日:2012/05/10

 私はそれを隠していた。

 見つけられたら、恥ずかしいと思っていた。

 虐めに遭うかもしれない、そう思っていた。

 だが、逆にそれは人を惹きつけてしまった。

「ねえ、それ何つけてるの?」

 大きなスカーフをつけてしまったからだろうか?

 新たな教室、新たな学友。

 彼らに見せたくないために巻いてきたスカーフが、こんな結果を呼ぶとは。

 困ったなと思ったときには、もう遅い。

 興味津々の学友たちに囲まれてしまった。

「スカーフ」

 小さく答えた。

「どこで売ってたの?」

「前に、住んでた近くのデパートで……」

「じゃあ、買いにいけないねぇ」

 そう、私が住んでいた場所は、そう近くない場所だ。

「でも……通販でも手に入る、から」

「あ、そうなんだ! 教えて教えて!!」

 それ以上、聞かれることはなかった。

 けれど、何故か胸がちくりと痛む。嘘はついていない。

 でも、これでいいんだろうか?


 翌朝、私はスカーフを取ってみた。

 聞かれるのは、怖いけど、それがいいと思った。

 この胸の痛みがなくなるのなら。

 そして、今度はこういうのだ。

「友達に……なってくれる?」


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