第3話 公園に行こう
今日の幼稚園も終わり俺と彩葉は近所の公園に遊びに来ていた。
いつも俺は彩葉の様子を見ながらトレーニングをしている訳だが、今日は彩葉も一緒にトレーニングをするのだった。
「彩葉、別に俺のトレーニングに付き合わなくてもいいんだぞ?」
俺は、腕立てをしながら彩葉に言う。
「私、朝、今日こそはお兄ちゃんのトレーニングに最後まで付いて行くよって言ったよ」
彩葉も、腕立てをしながら言う。
「そうだが・・・・無理だけはするなよ」
「うん!!」
彩葉は元気良く返事する。しかしこの時、彩葉はまだ俺のトレーニングの真の怖さを知らなかったのだった。
1時間後・・・
「彩葉大丈夫か?」
「・・・・・だ・・・い・・・・じょーぶ」
彩葉は顔が真っ青だった。ちなみにトレーニング内容は腹筋背筋100回5セット、腕立て40回5セット、これを30分で終わらせ、残りの30分は公園一周1分切り4分のインターバルで6本した。このメニューは俺が前世の時、やっていた回数の半分をしている。最初は俺も制限時間以内にするのは難しかった。さらに言うとトレーニングを始めた当時、公園一周1分切りは俺が全力で走ってギリギリ切れるタイムだったので、かなりやばかった。
そんなメニューを影でトレーニングをしている彩葉とは言え、こんな普通の幼稚園児がやらない様なトレーニングを急にすれば、間違いなく体調を崩す。もちろん途中で彩葉を止めたが、彩葉は言うことを聞かずに最後までしたのでこのような事になっている。
俺は仕方がないので、首にかけていた財布の中身を見た。中には五百円玉が入っていたので近くにある自動販売機にスポーツ飲料を買いに行くことにした。
「彩葉少し、ここで待っとけよ」
彩葉は頷いたので、俺はスポーツ飲料を買いに行った。
俺は自動販売機がある場所に行く途中、砂場で群がっている子供に目が移った。良く見ると一人の子供を囲って虐めている様に見えた。俺はその現場を見て見ぬ振りが出来ずにすぐ砂場の方向に向かった。近くまで行くと5人の男の子が寄って集って1人の女の子を虐めていた。
「お前等!!やめんかいっ!!」
俺は思いっきり怒鳴ると5人が見てきた。
「何だよお前、俺たちは遊んでんだよ、邪魔すんな!!」
「俺には遊んでいるようには見えないが?」
「お前がなんと言おうと関係のない話だ!帰れ」
俺は思わず呆れてしまった。どうやらこの5人は虐めることが遊びと主張する悪ガキのようだった。体格を見るに年齢的には今の俺より上らしいが女の子の方は俺と同い年に見えた。一体どういう経緯で虐められているのか気になったが、今の俺に必要なことは女の子の救出なので5人に立ち向かった。
「関係ないだと?・・・・立ち会ったこの瞬間からもう関係はある!!そこの女の子を開放させて貰おうか!!」
「うるせーな!!さっさとどっか行けよ!!」
5人の中の1人が殴り掛って来た。俺は素早く右に避け左手の拳を腹部に入れた。もちろん手加減はしている。それでも相手を倒すことが出来た。そして腹部に入れられた男の子はゆっくりと立ち上がり、
「ごほごほ・・・・・こいつ・・・やりやがったな!!」
「もう、ゆるさねぇー!!いくぞ!!」
リーダーらしき人物が合図を出したとともに全員一気に俺に飛び掛る。俺は相手の動きを読むため素早く2、3歩下がり構える。何も考えていなかったのか5人は俺の動きにダッシュで付いてきて、1人はそのまま体当たりをしようとしていた。体格的に悪くない戦法であるがそんな戦法で負ける俺ではない。俺は飛び掛ってきた1人をターゲットにし、先ほどと同じように腹部に拳を入れる。ただし今度の威力は立ち上がれない様にする為少し力を入れた。
「ふん!!1人目っ!!」
「ごぼ・・・!?」
「おい大丈夫か!?」
「くっ・・・クソチビめ・・・」
明らかに動揺がわかった為、俺は1人を沈めたら直にターゲットを次に移した。俺の動きに気付いた4人であったが少し遅かった。一気に近付いた俺は1人右足で蹴り飛ばした後、近くにいたもう1人を左手で張り飛ばす。
「後、2人ぃ!!」
「何だこいつ、強い!?」
「舐めていくと俺らもやられるぞ!!」
攻撃に転じてきた相手の動きを俺は直感で読み、右からの足払いと左からの拳を避ける。どうやらこの2人は少し戦い慣れている様だったが攻撃後の隙が大き過ぎるため俺は左足からの回し蹴りを2人にお見舞いした。この蹴りはクリーンヒットしたらしく2人は倒れた。
「りっ・・リーダーがやられた!?くそー・・・覚えてやがれ!!」
「ふん!!もう虐めなんかすんな!!」
5人はお互いを支えあいながら撤収していった。
「ふっーーー・・・君、大丈夫?」
俺は砂場に残った1人の女の子に話しかける。
「・・・うん」
女の子は頷きながら答えた。
「そうか・・・それは良かった。・・・君なんて名前なの」
「・・・私、国崎雫」
「へー国崎ね、俺は出雲俊秀!よろしくな!」
新たな会話に入ろうとしたが、俺は彩葉を待たしているのを思い出した。
「国崎!!俺の妹も紹介するからちょっと付いて来てくれないか?」
「・・・うん。俊秀君私のことは雫でいいよ」
「そうか!!じゃあ行こうか、雫!!」
俺と雫は彩葉のところに向かったのであった。余談だがスポーツ飲料を買い忘れたのに気付き、すぐ引き返すこととなるのだった。
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