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ゼロの輝き  作者: 遼明
序章
3/18

第2話 兄VS妹

「出雲兄ぃ!!今日こそ捕まえてやる!!」

「はっ!!そんな簡単に捕まってたまるかよ!!」


俊秀は田中に言う。

彼は今、幼稚園内でケイドロ(もしくはドロケイ)をしている。今俊秀はドロボーでありサツから逃げているのだが、彼の身体能力はかなり高くなかなか捕まえられないのである。


「あっ!待て!!」


俊秀はサツの横をするりと抜けると捕まっている仲間を解放するために牢屋の場所まで一気に駆ける。


「出雲ぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!早く俺達を解放してくれーーーーー!!」


捕まった仲間がふざけて叫んでいる。俊秀は笑いながら仲間を解放していく。

それを遠くから見ていたサツの司令塔こと山口が呟く。


「やはり出雲君を何とかしないといけない様だね」

「渡辺君、そろそろ彼女・・を出動要請を」


欠伸をしながら、山口の隣に立っていた渡辺が口を開く。


「いいぞ山口。許可は取っている」


山口と渡辺が話している間、俊秀は2人のサツ相手に逃げ続けていた。


「ふー。何とか振り切ったか・・・」


俊秀は2人のサツから逃げ切り、隠れられる場所でゆっくりと腰を下ろす。空を仰ぎながら大きく深呼吸をする。少し休んでいると仲間の佐藤がやってきた。


「出雲無事か?」

「ああ、なんとかな。サツの動きは今どうなっている?」

「新たに助っ人を投入したらしぞ。残り時間も少ないからただの足掻きだと思うが・・・・・!!出雲、牢を見ろ!!」

「えっ!?・・・・・何!?どう言う事だ!?」


俊秀は驚いた。先ほど開放したはずの仲間達がもう捕まっているのだった。


「まずい、みんなを助けないと・・・」

「行くな!出雲!!助っ人が誰かわからない中、上策ではない」

「だが、ここにいてもいつ見つかるか分からんぞ?」

「あっ、お兄ちゃん見っけ!」


後ろから声がしたので振り返ってみると俊秀と佐藤の時が一瞬止まった。目の前にいる彼女はこそサツの助っ人の証、白い鉢巻きの付いた赤い帽子をかぶっていた。しかも彼女は二人がよく知る人物、俊秀の妹、彩葉だった。


「逃げんぞ!!佐藤!!!」

「おうさ!」

「あっ!待てーーー!!」


俊秀と佐藤は別の方向に逃げたが、彩葉は迷わず俊秀の後を追った。


「お兄ちゃん、ここで無敗伝説終わらせて貰うよ!」

「なんじゃそりゃ!?」


俊秀は笑いながら突っ込んでいるが彩葉からなかなか逃げ切れずにいた。手を抜いている訳ではないが、俊秀の動きに彩葉がピッタリついて来るのだ。


(くっ・・・今日のランニングもだが、何故こんなについて来れる!?)


俊秀は少しだけ考えてしまった。そのせいで一瞬だけ隙を見せてしまう。


「えい!!」

「!?」


俊秀は辛うじて右に避け、そのまま走った。


「えっ!?・・・んっと逃がさないよ、お兄ちゃん!」


彩葉は大きく体制を崩した。が、すぐに立て直し俊秀を追う。


「・・・しつけーな」


俊秀はぼそっと呟いた。





そんな中、俊秀と彩葉の様子をサツの司令塔、山口とお供、渡辺は見ていた。


「いやー、予想以上だな。出雲妹の活躍は!!」

「渡辺君、予定通りですよ。そもそも出雲兄弟は似てないとは言え双子なんだから」

「へー、双子だったのか。でも双子だからと言って運動神経が同じとは思わんがな。あいつ何かしてたっけ?」

「彼女は影でトレーニングをしているよ」

「・・・まぁそろそろ行こうぜ。もう時間がない」


そうだなと一言山口が言って2人は俊秀を捕まえるため彩葉の援護へ向かった。


「お兄ちゃん!もうあきらめなよ」

「彩葉、いい事を教えてやろう。あきらめない限り終わることはないんだよ」

「ふーん、いつまで持つのかな?」


俊秀と彩葉が戦っている(?)うちに気付かれない様に山口と渡辺が俊秀の背後に近付く、

しかし、俊秀は気付いていたようで山口と渡辺を彩葉を撒くのに利用したのだった。


「サンキュー。助かったぜ」

「あっ!退いて!!あ痛ッ!!!」

「ゴフッ!!??」

「いっ・・・出雲君!!」


俊秀は3人をぎりぎりまで引き寄せて横に飛んだのだった。彩葉は俊秀を追うため全力で走っていたため山口と渡辺を避けることが出来なかった。逆に山口と渡辺はどっちかに行く事は読めたが、全力で突っ込んでくる彩葉は計算に入っておらず、彩葉を避けられなかった。


「うー。痛い」

「これは予想外・・・」

「・・・さすが出雲妹・・・・破壊力抜群だぜ」


ちなみに彩葉と山口は尻餅、渡辺はかろうじて立っているがもろに彩葉の体当たりを食らったようだった。


「あー・・・山口、渡辺、彩葉すまん」

「出雲君、君が誤ることはない」

「そうだぜ?あれは不慮の事故だ。第一お前がどっちかに避けることはわかっていたからな。だが、挟んでんのに、突っ込んでくる奴があるか?なっ出雲妹」

「うー。ごめんなさい・・・」

「気にするな。別に俺はなんとも思ってないし」


笑いながら渡辺は言った。そしてチャイムが鳴る。


「あーまた、出雲君を捕まえられなかったかー」

「まぁいいじゃん、次捕まえれば」


山口の言葉に笑いながら渡辺は答える。


「お兄ちゃん、そろそろ戻らないと先生に怒られるよ」

「ああ、そうだな。行こうぜ!!」


そして4人は歩き出した。

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