第4話 狩り終えて
大型の飛竜が倒れるのを見て、エドワードのいる城内では歓声が上がっていた。
「あの大型を一撃で・・・全部隊に通達、『マテリアル』を使い、残りの飛竜を倒せッ!!」
エドワードの指示を聞き、城内の兵士達はアサルトライフルに良く似た銃器を持って残りの飛竜に銃口を向ける。
指揮官が合図を送った瞬間、飛竜に向けて弾丸が放たれる。その弾丸は飛竜を貫き、次々と落していくのだった。
エドワードはその光景を静かに見ている。そして、1人の兵がエドワードの下にやってくるのだった。
「目標、撃墜を確認しました」
「よし、馬を出せ。大型を倒した戦士を迎えに行くぞ」
エドワードは外に出る為に馬が用意される予定の所へ行くのだった。
その頃、俊秀は先ほど倒した飛竜をどうやって食おうかと考えていた。
「さて、ケンさんが帰ってくる前に調理したいんだが・・・・でかすぎる。そこの少女、その腰にかけている剣を貸してくれ」
「なっ・・・・あなたは私の話は聞いているのですかッ!!」
答えを聞かずに俊秀はフィオーネから剣を借りる。
「ああ、聞いているぜ。確か俺の事を聞いていたんだっけ?」
「そうだっ!! あなたは何者なんですかっ!!」
「そんなに怒るな。綺麗な顔が台無しになるぜ?俺の事はこいつを食ってから話す。それに連れがまだ帰って来ていないしな」
そういいながら俊秀は飛竜を捌いていた。その太刀筋は美しく、一瞬見惚けてしまうフィオーネだったがすぐに元に戻る。
「連れ? あなたは1人ではないのか?」
「ああ、おっ!! 帰ってきたみたいだな」
「は? 人影なんて何処にも・・・」
フィオーネは辺りを見渡すが人影一つ無いが俊秀は言う。
「周りじゃない、上だ上」
「上? ・・・何あれ? ・・・ヘリコプター?」
俊秀達の上にはヘリに似た様な物ががホバリングしていたが、突然光を放ち始める。
「俊秀ぇーーーーーーー!!」
「えっ、人!?」
光が収まると健が空から降りてくる。俊秀はやっと来たかと呟いている一方、フィオーネは空から人が落ちて来ているので少しパニックになっていた。
健は俊秀に突っ込んでくるが、俊秀は軽やかに避ける。そのせいで健は地面に叩きつけられる。
「ウボバッ(何故避けらる)ーーーーーーーーーーーーー!?」
「残念ながら、お前の攻撃は見切っている」
「あの・・・その方は大丈夫なんですか?」
健の扱いがあまりにも酷いと感じたフィオーネは心配するが、俊秀は言う。
「大丈夫だ。この程度でこの男は死にはしない。しかし、思ったより早く帰ってきたな。海には落ちなかったのか?」
「落ちたよ!! 最初見つけた穴にホールインワンでな!! 海に直行だよ!! 危うく本当に海溝に落ちる所だった・・・・」
「そうか・・・それは大変だったな。もうすぐドラゴン捌き終るから、これで焼肉しようぜ!!」
飛竜をを全て捌いたわけではなかったが、それでもかなりの量が捌かれており、健は目を輝かせて言う。
「おっいいね!!・・・ところで、この銀髪少女何者?」
健の視線はフィオーネに向く、フィオーネは今まで話を聞いて貰えなかった事もあり、これはチャンスと自己紹介をする。
「私はこの空中大陸に存在する。空中要塞都市『レティシア』の王の娘、フィオーネ・レティシアだ。あなた達は?」
「俺の名前は出雲俊秀。最近、擬似世界から出てきた」
「同じく俊秀の親友、瑞浪健だ」
とりあえず、自己紹介を済ませた俊秀達であるが、フィオーネは気になった事があった。
「擬似世界? 何だそれは」
「ん? 説明は食べながらするとしてこれ食うか?」
俊秀はいつの間にか肉を焼いており、それを差し出すのであった。フィオーネは一瞬ためらうが少しお腹が減っていたのでいただく事にした。
10分後・・・・。
「なるほど、つまりあなた達は出口が何処に出るか分からない擬似世界に放り込まれ鍛えていたわけだな」
「そうそう、でもおかげで今もこうして生きているんだけどな・・・・・やっぱ、味があるって素晴らしいなぁ・・・」
俊秀は肉を良く食べながらは、フィオーネに擬似世界の説明と入った理由を説明していた。
その間健は、物凄いスピードで肉にがっついていた。
「ところで、あのドラゴンは何なんだ? 俺が擬似世界に入る前はあんなの見た事ないぞ?」
「・・・飛竜の事か、あれは3年前ぐらいから突然現れて、民衆達を襲い始めた」
フィオーネは俯き暗い顔をしながら言う。
「5年前、仁様が現れてやっと平和になったと思ったのに・・・・」
俊秀の表情は非常に驚いた顔をしていることに気付いたフィオーネは俊秀に聞く。
「どうしたんですか?」
「いや・・・聞き間違いじゃなきゃいいんだが・・・ジンって言ったよな?」
「はい、言いましたが、それが?」
「・・・・・・そいつ、男でイケメンだった?」
フィオーネは頷く、続けて俊秀は質問を仕掛ける。
「一人称は『私』で辻原流中国拳法が得意とか言ってなかった?」
「はい、そうですが・・・知り合いなんですか?」
フィオーネの眼光は鋭くなるがそんなもの俊秀には関係なかった。
(ほぼ間違いない。アイツも転生していたのかっ!! 辻原仁ッ!!)
こんなところで前世の親友が転生している事が発覚し、叫びそうになった俊秀であった。
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